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[北の名門で躍動する]セルティック4人衆にグラスゴーは夢を見る

2022/05/07
中村俊輔が確かな足跡を残したスコットランド随一の名門クラブで、現在4人もの日本人がプレーする。彼らは共に闘うことに何を感じ、熱狂的なファンは4人に何を期待しているのか。現地の声を聞いた。

 セルティックパークはいつものように緑色で、ぶ厚い歓声が赤レンガのスタンドからピッチに降り注がれていた。

 前田大然が競走馬の脚力で相手センターバックを追いかけ回している。旗手怜央の左足からは力の抜けた、心地よいパスが紡がれる。終盤には井手口陽介も出てきた。負傷離脱中だった古橋亨梧を加えると、セルティックには4人の日本人選手がいる。

 セルティックは勝った。ボール支配率は77%。国内の中小クラブを圧倒する景色は昔のままだ。

 勝利の歌声が響く中、スタンドの一角で日の丸の旗が舞っていた。

 グラスゴー郊外にある、セルティックの練習場に連れて行ってくれた運転手は82歳だった。延々と続く、羊が放牧された農場横の小道を巧みなハンドルさばきですり抜けていく。

「ゆりかごからパークヘッドへ。4歳の頃、初めてセルティックの試合を見た」

 1967年、彼は父親とリスボンまでバスで向かい(1週間かかった)、唯一のチャンピオンズカップ制覇を目にした。

「もう一度、あの舞台で活躍するチームを目にしたいものだ。シュンスケ・ナカムラがいた時代、我々はCLの常連だった。今は君んところの日本人がたくさんいるが、キョーゴはいいぞ。また夢を見させてくれそうだ」

 古橋亨梧は昨夏にグラスゴーへやってきた。当初、地元ファンは誰も彼のことを知らなかった。しかし唯一、とてもよく知る存在がいた。同時期に監督に就任したアンジェ・ポステコグルーだ。

「Jリーグでの活躍を近くから目にしていたから、やってくれるのは分かっていた」と指揮官は誇る。

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photograph by TAIZO De La Smith(Illustration)

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