7月11日、ダイヤモンドリーグのモナコ大会3000m障害で、三浦龍司が自身が持つ日本記録を一気に6秒以上も更新する8分3秒43をマークした。
世界陸上でもメダルを狙えるタイムに衝撃が走ったが、ライバルである青木涼真はXで、このニュースを引用しつつ、こんなポストをしていた。
《なんでこの人まだ自己ベスト8'09"なんだろうってずっと思ってたので安心しました。》
ユーモアがあり、日本選手権を連覇中の青木が書くことで凄みがよりわかるこのポスト。青木の真意はどこにあったのか。
「まぁやっとやってくれたな、と思ったので。一緒に走って感じる強さと、見る人が感じる強さって違うと思いますけど、僕は走っていて絶対に(三浦は)8分9秒じゃないだろって。だから、やっぱり嬉しかったですね。ライバルでもあるけど、ファンでもあるので。自分が(その直後に)自己ベストを出したときに、三浦(龍司)が『おめでとうございます』とわざわざラインをくれて、ますます応援しようって思いましたね(笑)」

理系ランナーの明晰な言葉と分析、シューズ哲学
今回、青木にインタビューを申し込んだのは、青木がアメリカの記録会で8分18秒75と自己ベストを更新して、国内で合宿に入った直後のタイミングだった。主なテーマは、NIKEが主催した「Breaking4」の意義についての解説してもらうことだった(以下のYouTubeでご覧いただけます)。
ただ、法政大学で希少な理系ランナーだった青木の言葉は想像以上に明晰で、サイエンスが陸上競技にもたらす可能性、コーチングにAIを利用する組み合わさった未来、そして何よりシューズとの向き合い方といったテーマについて次々と示唆的な言葉を聞くことができたので、青木のインタビューを抜粋しないかたちでお届けしたいと考えた。
特に驚いたのは、自身が履くスパイクを、今季の日本選手権からNIKEの「ドラゴンフライ」から同じくNIKEの「ヴィクトリー」に変えた理由を聞いたときだ。
「もともと足首が弱いというか、ゆるくて。反発の高いシューズを履くとふくらはぎを無駄につかってしまうし、機能を最大限利用できていなかったので、固いスパイクを避けていたんです。でも最近トレーニングんで足首の剛性も高くなってきて、テーピングをしたりもして、ヴィクトリーもうまく使いこなせるようになってきたと判断したためです」
「自分のひとつの目標として『ヴィクトリーを履けるような足をつくる』というのがあった」
世界最高レベルのアスリートに向けて作られたシューズを履きこなせるように「自分の身体」を最適化していくーー。自分にあったシューズを選び、またはシューズを足にあわせてカスタマイズするというのとはまったく逆の発想だ。その言葉をさらに掘り下げていくと……。
国枝慎吾さんとの対談で気が付いたこと
動画では、その他にも以下のようなトピックについて伺いました。
- 理想のペース設定とは?
- 空気抵抗を科学することの面白さ
- 思い描くシューズの未来
- 「すごすぎる」田中希実から受ける刺激
- 指導者になるならどんなタイプを目指す
- 国枝慎吾さんとの対談で気が付いたこと
- アスリートにとって最強のメンタルとは?
陸上競技の見方、ランニングの未来像に新しいヒントをくれる青木の言葉。40分のロングインタビューぜひご覧ください。(2025年7月23日取材)

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