前回から五輪競技に復活したゴルフ。日本女子は地の利も生かして金メダルを狙う。長く選手として活躍し、テレビ解説やツアーのコースセッティングも担当する諸見里しのぶが、ライバルたちとの力関係や開催コースの霞ヶ関カンツリー倶楽部の特徴などを読み解いた。
自国開催の今回の五輪、日本代表がメダルを獲得する可能性はとても高いと思っています。特に畑岡(奈紗)さんは金メダルに最も近い選手のひとりです。
畑岡さんは「黄金世代」と呼ばれる1998年度生まれの筆頭。6月の全米オープンでは笹生(優花)さんにプレーオフで敗れて2位でしたが、7月初めのマラソン・クラシックで2年ぶりに優勝しました。仕上げは順調。勝てそうで勝てなかったつかえが取れた意味は大きいと思います。
飛距離以上に曲がらないショットが武器ですが、昨年はショットの乱調に悔しがる姿を何度も見てきました。ところが今年5月に右手のグリップの位置を変えてから、テイクバックがすごくスムーズに上がるようになりました。その影響でインパクトが安定し、球筋の打ち分けを含めて精度が格段にアップした。優勝した大会からパターの総重量を20g軽くして、やっと自分にしっくりくるパターに出会えたのも大きい。今は自信満々でリズムが崩れません。
技術面だけでなく、メンタル面も充実しています。まずは全米女子オープンでメジャー制覇をあと一歩で逃した悔しさがある。2年前には同い年の渋野(日向子)さんが全英女子オープンで先にメジャーを勝っている。今年4月には同じように長くアメリカで頑張ってきた松山(英樹)君がマスターズで優勝しました。おかげで彼女の中の“ビッグトーナメント勝ちたい欲求”は出場選手の中で一番……、いえ、世界で一番というほど高まっているはずです。
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています