ともに5季連続出場、春夏を通じて荒木は12勝5敗、桑田は20勝3敗、まさに甲子園の申し子といえる。甲子園のない夏、2人のヒーローが語り合った聖地の魅力、そして敗戦から得た財産とは。
桑田 荒木さんの甲子園でのピッチングはよくテレビで観ていました。僕が3つ下ですから、中学生のときです。同じ右ピッチャーだったので、雑誌に載っていたピッチングフォームの連続写真をノートに貼って参考にしていました。
荒木 参考にはならなかったでしょ(笑)。桑田君には中学生のときから研究熱心というか、学ぼうという姿勢があったんだね。オレにはそういう素養がなかったなぁ。
桑田 感覚派だったんですか。
荒木 そう、誰かのフォームを見たり真似たりというのはオレには無理。チェックポイントとか、腕の持っていき方とか、人によって違うじゃない。だからいつも自分の感覚を信じていた。原(辰徳)さんの6つ下だから小学生のときには原さんに憧れた世代なんだけど、定岡(正二)さんのことも覚えていない。定岡さんに会ったときも「すみません、全然、覚えてないんです」って(笑)。真似したとしたら(4つ上の)兄貴のことくらいじゃないかな。
桑田 お兄さんも早実でしたよね。
荒木 うん、兄貴に憧れがあって、兄貴に認めてもらいたいと思っていた。4つ上で早実で4回、甲子園に出たんだよね。だから「オレは絶対に全部出る」って……。
桑田 えっ、高校へ入る前から5回出ることを目指していたんですか。
荒木 生意気にも、そういう気持ちだけはすごくあったのよ。早実に入ったときも、高校野球って意外と行けるかもなって思ったしね。すぐには無理だけど、ちょっとやればこの人たちを抜けるかもなって。
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photograph by Kanekoyama