小林誠司にこの応援歌を知っているかと訊いてみたことがある。♪意外なところで一発流し打ち、あっと驚くライトへホームラン――彼はしばらく考えてこう言った。
「……? いや、わかんないっス」
意外なところであっと驚くホームランを打っていたのは、1980年代のジャイアンツで不動の正捕手だった山倉和博だ。その山倉、じつは“ある記録”を持っている。それが“規定打席数をクリアした打率1割台”という珍記録である。'82年、山倉が記録した打率.196以降、規定打席に達した1割打者は一人もいない。2016、'17年と2年続けて打撃成績の最下位に甘んじた小林でさえ、打率2割は切っていなかった。ところが意外な、というフレーズでバッティングを認められていた山倉に対し、小林はレギュラーとしてさえ、独り立ちさせてもらっていない。キャッチャーとしての能力は群を抜いているというのに……そう問うと、小林は言った。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Nanae Suzuki