今夏、米リング誌の表紙を飾った“モンスター”のイラストが話題になった。描いたのは『はじめの一歩』作者の森川氏。40年ボクシングを観た眼に映る井上の凄さとは。
森川氏が手掛けた9月号。編集部の依頼は「井上のような人を一歩の絵で」。
井上尚弥は日本の歴史上、一番すごいボクサー。それは間違いない。これまで辰吉丈一郎が出てきたときも、長谷川穂積も、山中慎介も、こんなボクサー見たことないって思いました。これ以上は出てこないだろうとも。でもいま、間違いなく彼が史上最高峰だと思います。
最初に衝撃を受けたのは2戦目のガオプラチャン戦。ベテランのタイ人がこの若造めって感じに振り回してきたんですが、井上くんはバックステップしながら左フックで仕留めてしまった。これ、メキシカンがよくやる技術ではあるんです。でも下がりながらカウンターを打てる日本人はまずいないし、重心が後ろに掛かったはずのその一発でKOなんてありえない。死んだんじゃないかっていうダウンを見て、ああ、この人は特別なんだって確信しました。その後は、4戦目の田口良一くんを含めて、世界チャンピオン経験者とばかりやっているのに、あの衝撃がずっと更新されてますよね。こんなボクサーいないですよ。
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photograph by Ichisei Hiramatsu