#982
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<深層ドキュメント> サニブラウン・ハキーム「“悪夢”からの9秒97」

2019/07/15
日本選手権100m決勝では10秒02の大会新を記録し、桐生祥秀らに圧勝。
100mの日本記録更新と日本選手権2冠。20歳の大器は文字通り日本スプリント界の顔となった。なぜ彼は才能を開花させることができたのか。フロリダ大での知られざる苦悩と覚醒の瞬間に迫った。(Number982号掲載)

「Nightmare(悪夢)」

 フロリダ大学では毎年、全米大学選手権の出場選手にニックネームが入ったバックパックを配布するが、サニブラウンのものにはこの言葉が刺繍されている。

「ハキームは夢か悪夢か」

 そう呼ばれ始めたのは2017年。当時一緒に練習していたオランダ陸連のコーチやチームメイトたちが、練習でムラっ気があるサニブラウンをこう呼び始めたからだ。

 10代の頃はレース前に気が乗らないと「やる気スイッチがみつからない」と冗談交じりに話すことがあった。スイッチが入った時は素晴らしい走りを、オフの時は周囲を唖然とさせてしまうような低調なパフォーマンスをする。

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photograph by Takuya Sugiyama

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