アラバマ大学で哲学を教える准教授が、「九六パーセントのオオカミの子ども」を売る、という新聞広告を見つけ衝動買いをした。ウェールズ語で王を意味する「ブレニン」と名付けられた生後6週間のオスのオオカミは、それから11歳で死ぬまで著者と離れずに生活を共にした。ブレニンは大学にも同行し、著者の講義に飽きると遠吠えして教室の学生たちを喜ばせた。パーティにも、街中にも、リードなしで、ついていく。著者の職場替えでアイルランドに渡り、ロンドン、南フランスと移住した。こうなったのは、ブレニンが“ひとり”にされるのに耐えられず、室内の全ての家具を破壊してしまうため。イヌとは体力が段違いだ。著者は、“常にブレニンと一緒”のルールを自分に課し、それを守った。飼い主の責任感とは言え、相手はオオカミ、大変な決心であり、また、愉快な状況だ。
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photograph by Sports Graphic Number