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【動画】1万m27分台、駒大・佐藤圭汰に並ぶ区間タイ記録…“急成長”楠岡由浩が語る練習での工夫と“停滞期”の苦悩「この先、大丈夫かなって」《徹底解剖:帝京大学2025③》

2025/12/05
“エース”の自覚が徐々に出てきたと話す帝京大学・楠岡由浩(3年)。11月には27分台ランナーの仲間入り
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 箱根駅伝に挑む選手を動画でインタビューする連載「徹底解剖」に帝京大学・楠岡由浩選手(3年)が登場。全日本大学駅伝では2区で佐藤圭汰(駒澤大)に並ぶ区間タイ記録で区間賞を獲得、2週間後には10000mで27分52秒09をマークし、帝京大学初の27分台ランナーになった。自身の成長や“5強崩し”への手応え、さらには競技人生の目標などを語ってもらった。
 NumberPREMIERでは今季の帝京大学を徹底解剖。中野孝行監督のインタビュー動画(前編後編)、そして島田晃希選手の動画インタビューが公開中だ。

「走る前から区間賞は狙っていましたが、正直、区間新までは視野に入っていませんでした。誰が仕掛けるのかドキドキしながら走っていましたし、区間賞が獲れるかもしれないっていうワクワクというか、楽しみな部分はありました。走り終わってみて予想以上の記録だったので、僕もびっくりしました」

 中大・吉居駿恭、早大・鈴木琉胤、創価大・小池莉希ら、そうそうたるメンバーが集まった今年の全日本2区。そこで、区間賞を獲得したのが帝京大学・楠岡由浩(3年)だ。トップと12秒差の13番目(12位)で走り出すと、一時先頭を走って仕掛けるなどレースを動かし、最終的には先頭を譲ったものの、受けた襷を2位まで押し上げるまさにゲームチェンジャーの働きを見せた。タイムは佐藤圭汰に並ぶ区間タイ記録だった。

 さらに、2週間後の日体大長距離競技会(NCG)10000mに「最低27分台」を目指して出走。前半は先頭集団にはつかずあえて第2集団でレースを進めると、その集団のペースが遅くなったところで前に出て、単独走のような形で27分52秒09をマーク。前キャプテン・山中博生(現・大阪ガス)が持っていた帝京大学記録28分04秒54を更新するとともに、大学初の27分台ランナーになった。楠岡は今季、5000m(13分50秒12、順大記録会)とあわせて2つの大学記録を樹立したわけだ。

 全日本大学駅伝2区で区間賞を獲得 photgraph by Tadashi Hosoda
全日本大学駅伝2区で区間賞を獲得 photgraph by Tadashi Hosoda

 今季の成長の要因を、楠岡はどう考えているのか。

「去年までは練習につくので精一杯だったんですけど、今年は練習の余裕度も増えました。もっと練習しないといけないなっていうのは3年生になる前に感じていたので、夏合宿は結果的にチームで1番走りました。ポイント練習でも(集団のスタートから)秒差遅れで行ったり、別メニューでより速いペースでやったりっていうのを今年は心がけてやっていたので、その結果がチームにいい影響をもたらしているのは、すごくいいことかなと思います」

 練習の余裕度が増したことで、夏は自主的にジョグの量を増やし1000~1100kmを走り込めたという。継続できることで力がつき、さらに“攻めた”練習をできるようにもなった。

「1000mのインターバルなら集団より5~10秒遅く出て追いつくとか、長めのポイント練習ではもっとその秒数を増やして20~30秒遅れて出る練習を増やしてきました。監督から“何秒差で行け”って言われることはないので、調子、体の状態、試合に合わせて、基本的に自分から“今日は何秒遅れで行きます”と言ってやっています」

 前を追う展開で、距離と自分のコンディションを見極めながら走る練習を日頃からしてきたと楠岡は話す。全日本で見せた12秒差スタートからの追い上げは、まさにこういった練習がハマった結果だった。動画インタビューでは、レースの振り返りや、今季のチームへの手応えも語っている。

photograph by Takuya Sugiyama
photograph by Takuya Sugiyama

帝京大学初の13分台ランナーへの期待と重圧

 帝京大学初の13分台ランナーとして入学した楠岡だが、1年時は故障を繰り返し、思うように走れない期間が続いていた。

「自分ではあんまり気にしないようにはしていたんですけど、周りからの期待も感じていて、どこか自分の意識しないところで考えてしまう部分があったのか……。陸上を始めてから初めてこんなに長く走れない期間が続いたので、この先大丈夫かなっていう思いはありました」

 高校から本格的に陸上を始めた楠岡にとって、高校時代は「走れば自己ベスト」で順風満帆だった。順調に力をつけ、3年時にはインターハイで決勝進出、とちぎ国体では少年男子A 5000mで13分55秒84をマークし3位に入った経験もある。

 だが、大学に入ってからは練習量が増えたためか肉離れなどを繰り返した。1年時には全日本、箱根ともにメンバー入りすらしていない。結果が出続けることしか経験していない楠岡にとっては、もどかしい時間が続いた。

 その時支えになったもの、それは高校の恩師・中村大樹監督の言葉だった。楠岡を“復活”させた恩師の言葉、アドバイスとは——。インタビューでは、そのほか以下のことに触れている。

  • 「僕もびっくり」全日本2区区間タイ記録の裏側
  • チームの成長と“5強崩し”の壁
  • 前キャプテン・山中博生は「安心感があった」
  • 「ずっと苦しかった」前回箱根は5区17位
  • 意識する選手は「國學院の野中恒亨」
  • “将来のエース”と期待されて入学、重圧は——
  • 帝京大学に進学したまっすぐな理由
  • 中野監督は「高校の先生に似ている」
  • 「日の丸を背負って——」将来の目標は?
  • 推しは「チャンネルがーどまん」

 静かな語り口の中に、強くなることへの貪欲さを感じる楠岡のインタビュー、ぜひ動画でご覧ください。(11月12日取材)

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