1945年、敗戦のその年に伊藤正一は新たなる一歩を踏み出していた。北アルプス黒部源流域にある山小屋、三俣蓮華小屋の権利を買い取ったのだ。
戦中は陸軍の航空技術研究所でターボプロップエンジンの開発をしていた伊藤正一が、なぜ山小屋の主になったのかは、2014年にベストセラーとなった『定本 黒部の山賊』を読むとよくわかる。北アルプスの山々に魅せられた彼は、「山賊」遠山富士弥たちの助けを借りながら、次々と山荘を整備。ついには黒部最奥地の「最後の楽園」、雲ノ平に山小屋を建設し、そこへの最短ルートとなる「伊藤新道」を開拓した。
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photograph by Wataru Sato