25歳の杉田祐一がウィンブルドンで四大大会初出場を果たした。四大大会の予選は18回目の挑戦で、予選決勝進出5回目にして、ついに関門を突破した。杉田は、いかにもスッキリしたという表情で、胸の内を明かした。
「ほっとした方が大きいですね。時間がかかったので、その分……。抱えていた呪縛から解放されたというか」
今年1月の全豪では予選決勝で敗れた。コートから引き上げるところを呼び止めると杉田は「悔しいです」とだけ言って絶句、涙をこぼした。四大大会の本戦と予選は天国と地獄ほど違う、と選手たちは言う。獲得できるポイントも雲泥の差なら、ホスピタリティもあからさまに違う。'11年全米で同年代のライバル伊藤竜馬が、'12年全米では年下の守屋宏紀が、ひと足先に四大大会初出場を果たしている。「なぜだ?」。杉田は忸怩たる思いで仲間の背中を見ていたという。なぜ彼らはあっさりハードルを越えていくのか。自分はこんなに苦労しているのに、と。
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photograph by Hiromasa Mano