14番の大畑大介は弾丸と化して疾走した。11番の小野澤宏時は軟体動物の如くタックルを擦り抜けた。世界最多トライ王と日本最多キャッパー。日本ラグビーの歴史に燦然と輝く2人のフィニッシャーと、夢のバックスリーを組んだFBの中で、最も印象深い選手は? と問われたら、迷わず栗原徹と答える。
ボールを持てば、滑らかなコース取りと真横にスライドするステップで相手タックラーを置き去りにした。トップスピードのまま放つラストパスは、並走するランナーの胸にふわりと吸い込まれた。魔法の右足からのキックは、左右のタッチライン際から正確にHポストを射抜いた。'02年に来日したサラセンズのフランス代表FBトマ・カステニエドは、2トライを決めた相手FBを「欧州に来たらどのクラブでも即戦力だよ」と絶賛した。
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photograph by Nobuhiko Otomo