引き離して勝つ馬が極端に少ないのが、今年の牡馬クラシック戦線の大きな特徴だ。2歳戦まで遡っても、重賞で2着馬に最大の着差をつけたのは東京スポーツ杯2歳S(東京芝1800m、GIII)のサダムパテック(栗東・西園正都厩舎、父フジキセキ)で、それでも3馬身半だった。3歳戦に入ってからは、上位がダンゴになってゴールになだれ込む傾向はますます濃くなり、入着馬のすべてがコンマ5秒圏内(概ね3馬身差)にひしめく重賞が続出中なのだ。
たとえば弥生賞(中山芝2000m、GII)にも優勝したサダムパテック。接戦をモノにした事実はもちろん重いのだが、2着のプレイにつけた着差は僅かに半馬身。それどころか、6着までがコンマ1秒差という大接戦に持ち込まれてしまっている。牝馬には早々にレーヴディソール、桜花賞を迎えたときにはマルセリーナという傑出馬が出現したというのに、牡馬路線にはいつまで待っても揺るぎない主役が登場してこなかった。低レベルかどうかはにわかには断定できないが、チャンスがある馬がいつもの年よりもたくさんいることだけは事実だろう。
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photograph by Kiichi Yamamoto