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<歴史を紡ぐ者>リオネル・メッシ「雪辱を期す24年後の“10番”」

2010/05/13
 バロンドールに輝いたアルゼンチンの怪物は、かつてマラドーナが君臨した領域に駆け上がる。
 後悔にまみれた4年前の思いを胸に、バルサの10番は南アフリカへ乗り込んでいく。
 自らに残された最後の栄冠を手にするために。

 4年前のベルリンで見た光景を、リオネル・メッシは忘れることができないという。

 準決勝進出がかかった、ドイツとの一戦。1-1で進んだ試合は延長戦でも決着が付かず、勝負はPK戦へと持ち込まれた。

 エステバン・カンビアッソが蹴った最後のペナルティーキックを、メッシは遠くベンチから眺めていた。

 そのキックはイェンス・レーマンに綺麗に弾かれ、そしてアルゼンチンの大会敗退は決まった。

 英雄となったゴールキーパーの下へ走っていくドイツ人たち。両手で顔を覆い泣き崩れるカンビアッソを遠目に、ベンチ前のメッシはうつむいていた。

「あの時はドイツに勝って準決勝にいけると信じていたんだけど……。もちろん、ドイツ戦でもチームを助けるためにピッチに立ちたかった。それだけにあの敗戦はショックだったんだ」

 この試合、メッシがピッチに立つことはなかった。


 ドイツワールドカップでホセ・ペケルマン監督が攻撃陣の軸としたのは、“10番”を付けるフアン・ロマン・リケルメと、エルナン・クレスポ、ハビエル・サビオラ、カルロス・テベスの4人だった。

 メッシの起用を望む世間に対し、ペケルマンは「メッシは怪我明けだ。ベストの状態だったら考慮するが」と口にしていたが、大会前からメッシ抜きの構想は固まりつつあった。

 メッシが幼い頃から憧れていたワールドカップの舞台。18歳で迎えた自身初となるドイツ大会で、彼はほとんどプレーすることができなかった。

 バルセロナでの活躍が世界に知られ、メッシは新星として大会前から大きな注目を浴びていた。

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photograph by Getty Images

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