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<JFLでの新たな挑戦> 松田直樹 「死ぬ気で、ぶっ飛ばしてやる」 

text by

佐藤岳

佐藤岳Gaku Sato

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2011/03/17 06:00

<JFLでの新たな挑戦> 松田直樹 「死ぬ気で、ぶっ飛ばしてやる」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama
16年間J1の名門クラブを支え、日本代表でも活躍してきた男が、昨年11月、唐突に解雇を告げられた。失意を乗り越え、新たな戦いの場に選んだのはJFL。うっすらと雪化粧のほどこされた信州の山々を背に、偽らざる胸の内を赤裸々に語った。

 お好み焼きをつついていると、おもむろに携帯電話が震えた。画面を見ると、松田直樹とある。数時間前、G大阪戦があった万博の競技場で別れたばかりだった。連敗を脱し、久しぶりに明るさを取り戻した松田の顔が浮かぶ。今は午後8時過ぎ。気分良く夕飯にでも繰り出しているはずの時間帯だ。何の用だろう。着信ボタンを押すと、何の前置きもなく、彼は言った。

「切られた」

 電話口に恐ろしく無機質な声が響く。一瞬、意味を判別できないでいると、言葉が続いた。

「戦力外。さっき、会社から言われた」

 2010年11月27日、それはあまりにも突然の通告だった。

 それ以降、しばしの間、本人の記憶は混沌としている。契約を打ち切られた瞬間について「何か夢を見ているような気分だった」と振り返る松田は、いつも、どこか放心しているように見えた。ほんの数日前の話題すら思い出せないこともあり、度々、「そんなこと言ったっけ?」と首を傾げた。

 横浜F・マリノス一筋16年のプロ人生において、戦力外とされてもおかしくない時期は何度かある。例えば、早野宏史が率いた2007年は出場機会が激減し、チームの中心から弾き出された印象が強い。それに比べ、今回はチームに対する貢献度も高く、現場からの信頼はむしろ厚かった。その証拠にシーズン終盤には監督からも契約延長を匂わせる言葉を受けている。だからこそ、松田が負ったダメージは大きかった。

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