野ボール横丁BACK NUMBER
オープン戦で活躍するのは半人前!?
2大新人、澤村&斎藤は通用するか。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byTamon Matsuzono
posted2011/03/14 10:30
新人離れした実力を示しつつある澤村拓一。原監督はオープン戦の成績を見て「私は、内海か東野のどちらかに開幕投手を務めてもらいたいと思っています。もしその2人でなければ、その投手(澤村)が上回ったということです」(3月4日)と微妙な発言をしている
最多安打のマートンはオープン戦では“眠れる虎”?
だとしたら、実績のある選手はこの期間、何をしているのだろうか。
たとえば昨季、プロ野球の年間最多安打記録を更新した阪神のマートンは、オープン戦では打率1割台と低迷していたが、その間、コツコツと対戦した投手の特徴をノートにメモしていた。そしてシーズンに入ってから、その蓄積したデータを最大限生かし、214本もの安打を積み上げたのだ。
マートンは今季もオープン戦は打率1割台である。だが落ち着いたものだ。
「オープン戦は新しい投手がどんどん投げてくるので、今はそれを研究している段階。それと開幕に向け、自分のスイングを確認している。シーズンに入ったら、もう、そんなことはやってられないですからね」
オープン戦で打っても一銭にもならない。だったら、それまではシーズンに備えてマートンのように相手を観察しつつ、ある意味、眠った振りをしていた方が得策ではないか。少なくとも、マートンほどの選手であれば、そう考える方が自然である。
シーズンに入ったら、そんなことはやってられない――。
そうなってからが、本当のプロなのだ。
ルーキーの活躍ぶりはオープン戦の成績では判断できない。
野手でいえば、現在のところ、4年目の日本ハムの中田翔と、3年目の西武の浅村栄斗が目立っている。だが、すでに一軍を経験している彼らは、同じ若手であってもルーキーたちとは違いどこかで自覚しているはずだ。本当のプロが投げるボールはこんなものではない、と。
無論、ルーキーである以上オープン戦で最低限の結果は必要だし、出ないよりは出た方がいい。ただ、繰り返しになるが、オープン戦は所詮オープン戦に過ぎない。
ルーキーたちが「プロ」で通用するのかしないのか。それを本当の意味で判断するには、開幕まで待つ以外に方法はない。