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テニスPRESSBACK NUMBER
「ついてくる選手が少なかった悲しさはある」錦織圭以後トップ10のアジア系選手が皆無という現実…引退後も錦織に寄せられ続ける「期待」とは
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山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byYuki Suenaga
posted2026/10/20 06:21
真剣勝負の場を去ってなお、錦織に寄せられる様々な期待とはいったい?
かつて「錦織効果」と呼ばれた現象があった。錦織以前は16年間一人もいなかった日本男子のツアー優勝者が、2010年代後半に杉田祐一、西岡良仁、ダニエル太郎と3人も誕生し、あるときはグランドスラムに史上最多の5人が出場した。
引退してなお「錦織頼み」のテニス界
あの効果を、次はジュニア育成や若手強化の分野でと考える人がどうも多いらしい。その豊富な経験とスキルを伝授し、日本のテニス界を引っ張ってほしいと願う声を何度も耳にし、目にする。ジュニアキャンプを主宰する松岡修造氏によると、「錦織の一言には力があり、いい指導をする」のだそうだ。
松岡氏はまた、錦織の別の役割にも期待感を抱いている。錦織のラストマッチの日に自らも会見を行なって、ある嘆きとともにそれを語った。
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「僕も今はメディア側にいますが、たとえば番組で(カルロス・)アルカラスと(ヤニク・)シナーで何か企画を出したって、彼らを知っているスタッフがいないんです。日本で知っている人は100人、200人に1人くらいですよ。そういう現実なので、テニスというものを多くの人に知ってほしい。ではその役割を誰が担うか、ホープがやってまいりました。錦織圭です。注目されている今がチャンスなんです」
不意に悲しくなった。松岡氏の熱い思いが、ではない。20年もの間、日本には錦織圭というプレーヤーがいたのに、史上最強といわれたビッグ4、ビッグ5の時代に彼らと渡り合うほどの選手がいたのに、なぜ今アルカラスとシナーの名前も知らない国なのか。錦織があれほど重いものを背負って一人で戦っていた年月に、なぜ日本のテニス界はその人気を長期的に活かす下地を作れなかったのか。なぜまた錦織頼みなのか——。
ふと、IMGアカデミーの創立者である故ニック・ボロテリー氏の言葉を思い出した。
「ケイが打つショットのいくつかは、教えてできるものではない。あれを教えられるコーチは世界中のどこを探したっていないよ。巧みで素早いあの手さばき……彼ならマジシャンとしてもやっていけるだろう」
稀代のショットメーカーが繰り出す次の一手に、視線が注がれるのは無理もない。ただ、どうか自由に、思いのままに。
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