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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「拓真が一枚上手だなと」井上拓真vs.那須川天心“運命の再戦”を元世界王者・飯田覚士はどう見たか「この試合におけるベストラウンドは…」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2026/10/02 17:05
井上拓真と那須川天心の“運命の再戦”は王者・井上に判定3-0で軍配が…この試合を元世界王者・飯田覚士はどう見たのか?
「天心選手はサウスポーのセオリーとは逆に、左側(内側)にちょっと遠めの位置でゆっくりサークリングしていくやり方で、拓真選手がそれに合わせるような形でした。でも1ラウンドの後半になると、合わせる動きをやめて正面に立たない自分主導のサークリングに切り替えた。そして残り20秒のところで天心選手の打ち終わりに、右アッパーを合わせています。相手のペースにさせず、1ラウンドからポイントを獲ろうとした点でも一枚上手だなと感じました」
2ラウンドに入ると両者ともに踏み込んでパンチを放つシーンが増え、アグレッシブに拳を交えていく。一気にボルテージが上がったラウンドとなった。
“再戦”というのも大きかった
「再戦というのも大きかったとは思います。1ラウンドは剣士が遠い間合いから剣の先で火花を散らしているような印象。もう少しこの展開が続くと思ったらそうではなかった。相手のことは前回で大体つかめているし、準備してきたものも予測できたことはあったにせよ、この試合に懸ける2人の気持ちが伝わってきました。このラウンドの終盤、拓真選手がスリップで尻もちをついた場面がありました。サウスポーの天心選手が相手の外側に足を置いて、しっかり入ってきているから足が絡んでこういう現象も起こる。1戦目のときはほとんどなかったシチュエーションだと言えます。
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ただ拓真選手は落ち着いていましたね。頭の位置を常に細かく動かして的を絞らせなかった。テンポを上げながら手数を増やし、圧力を強めていきました。前回の試合で、最初の2ラウンド(のポイント)を取られた反省もあったとは思います。エンジンを早めに掛けてきましたよね。徹底していたのが天心選手の打ち終わりに対してカウンターを合わせようとすること。シャープな左フック、右ストレート、ショートの右を、ふわっと返すんじゃなくてしっかり打つ。ボディを狙われても上からストレートを打ち下ろす。天心選手もうまくかわしてはいたのですが、これだと続けては行きにくい。彼は勘のいい選手なので、打ち終わりを狙っているのが分かるから、打ったら即座にバックギアに入れて一度引く。これは天心選手の格闘センスではあるものの、“打ったら引かなきゃいけない”と拓真選手が刷り込ませたとも言える。ラウンドを重ねるにつれ、“もっと手を出したほうがいい”と見ていた人は多いでしょう。でも拓真選手がそうさせるようにした巧さが光りました」

