甲子園の風BACK NUMBER
「プロもあるんじゃないか」福岡有数の進学校・東筑を甲子園に導いたバッテリーがまだまだ夢を追うワケ「違う道を目指しても許してくれる学校です」
text by

内田勝治Katsuharu Uchida
photograph byJIJI PRESS
posted2026/09/04 11:02
今夏、甲子園で「文武両道」公立校として話題になった東筑のエース、深町。県下有数の進学校を卒業した後の進路については、どう考えているのか?
「東筑は質の高さを求めがちなんですけど、やっぱり量をこなさないと勝てない。1日500スイングをやり抜いたからこそ、この夏もみんな結構打てたと思っています」
その努力の成果が結実したのが、今夏福岡大会の準決勝、九州国際大付との一戦だった。点を取られては取り返すシーソーゲームの展開。1点ビハインドで迎えた9回一死二、三塁の場面で、平山が逆転の2点二塁打を放ち、最後は5対3で逆転勝ち。昨秋の神宮覇者を見事にうっちゃった。
「とにかく自分たちの力を100%を出し切れば勝ち切れると思っていたし、(相手には)弱点もあると感じていたので、そこを突けば絶対に勝てるというのはみんなに言ってきました」
今夏公立校で唯一の一発を放つ
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そして甲子園初戦の神村学園(鹿児島)戦、初回に先頭打者本塁打を放ち、聖地を揺るがせた。今夏飛び出た全8本塁打のうち、公立校選手による一発は平山だけだ。
「変化球でしたけど、真ん中にきたので、とりあえず振ったらいい感じに当たってくれたので、スタンドに入ったなと確信しました。でも、相手は神村学園さんで、この1点じゃ絶対に勝てないという思いもあったので、すぐに次の守備へ気持ちを切り替えました」
平山の言葉通り、神村学園は簡単な相手ではなかった。3回、深町が3暴投と制球に苦しみ、3点を失うなど、5回を投げ、7安打5四死球4失点で降板。結局1対5で逆転負けし、1996年夏以来、勝利の校歌を歌う目標は叶わなかった。深町は「恩返しできる場所でした」と振り返ると同時に、悔しさもあらわにした。
「自分の中では固さがあって、100%の力を出し切れませんでした。一つでも勝っていれば、もっとたくさんの人に恩返しできたかなという思いもあります。でも、あの舞台で投げられたことは、これからの人生にとって本当に大きな経験になりました」
甲子園の土を踏み、敗れ、涙を拭った2人は、今、それぞれの場所で「夢の続き」へ向けて動き出している。

