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「軍隊に馴染めなかった」名家の“お坊ちゃん”→特攻隊員になった男「戦争が蔦文也から“決定的な何か”を奪った」池田高校で甲子園を制覇するまでの苦境

posted2026/09/03 11:00

 
「軍隊に馴染めなかった」名家の“お坊ちゃん”→特攻隊員になった男「戦争が蔦文也から“決定的な何か”を奪った」池田高校で甲子園を制覇するまでの苦境<Number Web> photograph by KYODO

池田高校を率い、3度の甲子園優勝を果たした蔦文也監督

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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KYODO

公立高校ながら、甲子園に旋風を巻き起こし、3度の全国制覇を成し遂げた徳島・池田高校の蔦文也監督。1970年代から80年代にかけて、一大ブームを巻き起こした彼はその手腕を称えられる一方、晩年になると「講演会に行ってばかりで練習に顔を出さない」などという醜聞も漏れ伝わってきた。

毀誉褒貶が飛び交う蔦文也とは一体、何者なのか。彼の遺族や関係者に丹念に取材を重ねた書籍『監督、神になる 池田高校 記憶の衝突』(文藝春秋)が反響を呼んでいる。今回、著者・田中仰と『戦中派 死の淵に立たされた青春とその後』(講談社現代新書)で第74回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した前田啓介との対談が実現。“戦中派”という立場が蔦の人生に及ぼした影響を考察した。【全3回の初回/第2回第3回に続く】

◆◆◆

前田 『監督、神になる』は、問いの立て方が斬新に感じました。通説を検証する本はあっても、「自分の書いた記事が本当に正しかったのか」と自問自答するパターンは読んだ記憶がありません。しかも、蔦さんの生涯を追いながら、川原良正コーチや投書を書いた人物など関係者の方々の人生まで描かれている。そして、それが結果として蔦さんの人物を描くことになっている。非常に面白く拝読しました。

筆者が“再取材”へと向かった理由

 田中は昨年8月、以下の記事をNumberWebで執筆した。

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#1 夏春連覇“あの名門公立校”なぜ甲子園から消えた?「美談は言わないよ」現地取材でポツリ…日本中が熱狂「神様になった監督」池田高野球部のナゾを追う
#2 高校野球の名門・池田高に驚愕の新証言「少しずつ蔦文也はおかしくなっていったんよ」当時コーチが断言する“カリスマ名将の異変”…徳島現地で取材
#3 「金の好きな欲望ジジイ」甲子園連覇の名将に40年越しの告発文…“日本で最も愛された監督”蔦文也は何者だったのか? あのPL学園との名試合“本当の敗因”

「美談は言わないよ」「金の好きな欲望ジジイ」「告発文」という刺激的な文言が話題を呼び、合計1100万PVと人気を集めた。だが、時間が経つにつれて、田中の心に「致命的な事実を見落としたまま執筆したのではないか」という感情が湧き上がってきた。その違和感を突き止めるため、新たな取材を繰り返し、一冊の本にまとめた。

【次ページ】 同志社大に進学…エリートコースを歩んでいた

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