甲子園の風BACK NUMBER
「プロもあるんじゃないか」福岡有数の進学校・東筑を甲子園に導いたバッテリーがまだまだ夢を追うワケ「違う道を目指しても許してくれる学校です」
text by

内田勝治Katsuharu Uchida
photograph byJIJI PRESS
posted2026/09/04 11:02
今夏、甲子園で「文武両道」公立校として話題になった東筑のエース、深町。県下有数の進学校を卒業した後の進路については、どう考えているのか?
「2023年秋の福岡大会で、東筑が九州国際大付にタイブレーク(5対4)で勝ったのを見て、強豪私学にも対抗できる公立の進学校は東筑しかないと思ったので、自分の将来も見据えて選びました」
だが、入学早々壁にぶち当たる。進学校特有の授業スピードと膨大な課題が新入生に降りかかる。 もちろんスポーツクラスなどない。運動部であろうと、有名国公立大を狙う一般生徒たちと同じカリキュラムが組まれる。
「最初の1カ月は授業についていけなさすぎて、本気で辞めたいと思いました」と深町は苦笑する。それでも日々の生活リズムを必死に組み立て、机にしがみついていくうちに「勉強の仕方も分かってきて、成績も徐々に上がっていきました」と振り返る。
限られた練習環境で効率を高めるために
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ただ、勉強優先のため、どうしても練習時間には制限がある。月曜と木曜は7限授業が16時15分まであるため、練習は通常より1時間ほど遅い17時ごろからスタート。19時30分にはグラウンド整備や道具の片付けを行い、20時には完全下校しなければならない。そのため、全体で行うウォーミングアップは省き、各々で体を動かした後にいきなりシートノックや実戦形式の1カ所打撃から入ることもある。
設備面も決して恵まれているとは言えない。グラウンドはラグビー部、サッカー部、陸上部と共用。使用スペースも内野のみと限られる。全面が使えるのは月曜、金曜の2日間と、水曜は18時以降のみ。火曜、木曜はバックネット側に向かってフリー打撃を行ない、打撃感覚を養うほかない。
限られた環境の中で効率良くトップパフォーマンスを発揮するためには何をすべきか。歴代のOBたちが「考える野球」を実践し、練習の「質」を追い求めてきた結果、「公立の雄」と呼ばれるまでに飛躍を遂げた。
それでも、強豪私学に対抗するにあたって圧倒的に足りないのが「量」の部分だ。そこで平山は、「1日500スイング」というノルマを設定した。


