JリーグPRESSBACK NUMBER
「日本は嫌いだが?」盧廷潤がキレた後輩の発言とは…ソウルで熱く語った日本サッカーの敬意と兄貴と慕う森保一への注文「きっと成功する。世界に行ってほしい」
text by

キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byRyosuke Tanikawa
posted2026/08/27 11:09
母国・韓国のサッカー界が抱える問題に危機感を募らせる盧廷潤(55歳)。兄貴分と慕った森保一への思いも口にした
苦汁をなめた母国のサッカーを憂えた元韓国代表GKの金永光が、動画配信で『日本は嫌いだが』と前置きしながら、森保一の韓国代表監督就任を唱えた。
「永光に直接電話して言ったんです。サッカー人として、サッカー人に悪いことをしないでくれ、と。なぜ敵を作るんだ、と。これから日本でプレーする韓国人選手がいる。自分が『日本が嫌いだ』と言えば、日本の人からも嫌われる。何のプラスにもならないでしょう」
日本でプレーした9シーズンでは心ない言葉を投げつけるファンもいた。それでも、自身が味わった苦い経験だけを切り取って国全体を語ろうとはしない。
ADVERTISEMENT
「サッカー人ならサッカーのことを考えればいい。良い人と付き合い、悪い人とは会わなければいい。これから出てくる選手のために、悪い言葉で道を狭くしてはいけない」
この考え方は、かつて自分が浴びた「売国奴」というバッシングへのアンサーでもある。盧が日本を選んだことは、母国・韓国を捨てる行為ではなかった。Jリーグで成長し、韓国代表として2度のW杯に出場した。海外に出る選手が増えれば、その経験は母国へ還元される。敵を増やす言葉より、選択肢を増やす行動の方がサッカーを強くする――それが盧の実感だ。
韓国の若い選手を日本に
批判で終わらず、自分にできる解決策を模索した。今年7月、J3・FC大阪のアジア戦略アンバサダー就任を発表した。韓国の若い選手に日本で成長する機会をつくる仕事だ。
もっとも、誰でも連れて来ればいいとは考えていない。
「夢は、可能性があってこその夢です。親御さんには申し訳なくても、難しい選手には『できない』とはっきり言います。100人を送る仕事ではない。1年に一人でも多くの選手が、日本で成功できればいいと思っています」
過去30年で多くの韓国人選手がJリーグに渡ったが、本当の意味で成功した選手は一握りだと盧は見る。実績のために人数を増やし、試合に出られない若者を生むつもりはない。「今は3人ほど注目している」と明かしたが、その全員が成功するとは限らないとも言い切った。
「ミッドフィルダーだと聞けば、まず『足は速いのか』と聞きます。日本には技術のある選手がたくさんいるから、同じことをしても難しい。でも、韓国の強さを生かせるディフェンダーやGK、大きくて速いセンターフォワードなら可能性がある。行くだけでは意味がない。活躍できる選手でないといけません」
そして、若者に最初に伝えたいのは技術論ではない。
「言葉です。フランスでもドイツでも、自分が行きたい場所の言葉を早く勉強する。言葉を覚えれば、向こうの選手と早く同じ立場に立てる。これは絶対です」


