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「子どもの頃から特別なスピードを持っていた」首位独走中のキミ・アントネッリの師、トト・ウォルフが語った速いドライバーの本質
posted2026/08/18 17:00
ハンガリーGPでは3位ながらも、今季6勝を挙げランキングトップをひた走るアントネッリ
text by

尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Mercedes-AMG PETRONAS Formula One Team
「キミが類まれなる才能の持ち主であることは疑いようがない事実。ただし、F1で成功するには才能だけでは足りない。大切なのは、正しいタイミングで正しい場所にいることだ」
これは、今シーズン前半戦で6勝を挙げて、ドライバーズ選手権で首位を走るアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)について、元F1ドライバーのイワン・カペリが語った言葉だ。カペリはアントネッリと同じイタリア出身。アルベルト・アスカリ以来、73年ぶりとなるイタリア人のF1チャンピオン誕生に期待を寄せている。
アントネッリを「正しい場所」に導いたひとりが、メルセデスのチーム代表を務めるトト・ウォルフだ。
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「9歳か10歳のころには、キミはすでにカートで多くのタイトルを獲得していた。われわれが彼に注目し始めたのは、その頃だった」
その数年後の2019年、ウォルフはアントネッリをメルセデス・ジュニア・チームに迎え入れ、将来のF1ドライバー候補として育成を始める。
ウォルフはアントネッリのどこに特別な才能を感じたのだろうか?
アントネッリが優勝し、19歳216日でF1史上最年少のポイントリーダーとなった今年3月末の日本GPで、その質問をウォルフに直接ぶつけたことがあった。
子どもの頃からすでにある〝特別な速さ〟
ウォルフはこう断言した。
「私は多くのドライバーたちを見てきたが、才能のあるドライバーたちは、カートを運転している子どもの頃からすでにスピードがあるんだ」
レースは世界中で行われ、スピードのあるドライバーはどこにでもいる。しかし、ウォルフが語る「スピード」とは「ただ速い」だけではなく、「特別な速さ」を持っているかどうかを指す。
「たとえば、最初のラップからいきなり全開で走ることができるような高い順応性だ。そういうドライバーは例外なく、雨の中でも速い。それは教えられるものではなく、たとえ8歳や9歳の段階でも、才能がある子どもには備わっている。私はキミが12歳のときに特別な速さを持っていると確信し、契約を結んだ」
ウォルフには、いまも悔恨の念を抱いている過去がある。2014年のシーズン半ば、ドイツGPが行われていたホッケンハイムリンクでのミーティングのことだ。当時のヨーロッパでは、元F1ドライバーの息子のマックス・フェルスタッペンがカートを卒業し、F3ヨーロッパ選手権に参戦したことが話題となっていた。16歳ながら本格的な4輪レースデビューを果たしたフェルスタッペンは期待に違わぬ非凡な速さを披露し、F1のパドックでも次第に注目度が高くなっていた。

