野球クロスロードBACK NUMBER
「高校野球が衰退していく」“甲子園出場40回”明徳義塾・馬淵史郎監督が「令和の高校野球に苦言」のワケは? 「いい選手が集まらないと勝てない、では…」
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph bySankei Shimbun
posted2026/08/12 17:00
今夏で40回目の甲子園出場となった明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督。惜しくも初戦で敗れたが、試合後には“苦言”も?
そこに野球があり、人がいる。
馬淵は甲子園での囲み取材やインタビューで、毎回と言っていいほど言葉を紡ぐ「誇り」がある。今年の夏もそこに想いを馳せた。
「うちに入ってくるんは、大体がOBの子供とかそこからの紹介なんですよ」
ADVERTISEMENT
今年のメンバーで有名なところで言えば、筧遥真だ。父の裕次郎は明徳義塾が初の日本一となった2002年に、キャッチャーのレギュラーとしてチームを支えた。彼のように主力だったOBばかりではない。むしろ、ベンチメンバーに入れなかったような選手が、息子や兄弟を母校に送り出すのだという。
馬淵が喜んでいた姿を思い出す。
「親が控え選手やったら、普通は『やめとけ』言いますよ。それなのに、息子も兄弟もみんな明徳に来てくれる。これはね、めちゃくちゃうれしいことですよ」
だからこそ、馬淵は70を超えても野球に情熱を注げるのである。それは、親や兄が培った明徳義塾の遺伝子を託され、さらに成長させる、監督としての責務でもある。
「高校野球が衰退」馬淵監督が“苦言”のワケは?
近年、過熱する、強豪校による“スカウト合戦”を、馬淵は快く思っていない。
「いい選手が集まったときは強い。そうじゃないときは勝てない、というようなことをしていてはね、高校野球が衰退していくんじゃないかと思います」
そんな危惧があるからこそ、馬淵は明徳義塾の選手たちに不変の野球を叩きこむのだ。
「明徳を選んで入ってきてくれた選手を伸ばしていくのは、やりがいがあります。コツコツ、コツコツといろんなことを教えていったらね、野球の面白さもわかってくるし。体の小さい子でもね、キャッチボールからしっかり教えていけばね、『自分は小さくても、足が遅くても、肩が強くなくても、頭を使って高校野球をやればここまでできるんだ』ってなってくれると思うんですよ」
今年の夏が、まさにそんなチームだった。

