NumberPREMIER ExBACK NUMBER
「高校で硬式野球はやめようと思っていた」阪神タイガース”無双の左腕”高橋遥人が明かす意外なルーツ「僕、結構やらかしキャラだったので…」
text by

佐井陽介Yosuke Sai
photograph byNanae Suzuki
posted2026/08/21 17:02
今シーズン12勝2敗、防御率1.93と圧倒的な成績を残している阪神の高橋遥人。常葉橘高校時代の意外なルーツを明かした
下山はもともとパフォーマンスコーディネーターという肩書を持つ。そんな理論派は高橋の常人離れした胸郭のしなりにも着目した。彼は弓を限界まで引いてから矢を放つように、腕を走らせる動作をぎりぎりまで我慢できたのである。
「ハンドボールや水球の選手がシュートするときのように、胸がしなりきってから腕が出てくる。打者からしたらイメージよりワンテンポ遅れてズドンとボールが来るので、なかなかタイミングを取れません。胸のしなりでタイムラグを作れるのは彼の特異体質なのだと思います」
こうした特長は阪神の主戦格へと成長を遂げた今もなお、並みいる強打者を惑わせる武器の一つであり続けている。
ADVERTISEMENT
ただ、いくらダイヤの原石といえども当時はまだ中学生である。投球フォームには無駄な動きも目立っていた。そこで下山は高橋を外野手として練習させて、コンパクトなテイクバックを体に染み込ませた。さらに高橋以外の投手もプロに送り出した独自の訓練法を使って、骨盤コントロールなどの身体操作を徹底的に叩き込んだ。
「投げ方は一切教えませんでした。胸から下の動かし方を伝えれば、そこから上は付いてくるものなので」
骨盤は加速を生むギアになる。骨盤の真ん中には仙骨、左右には2つの腸骨がある。左投手の場合、打者方向に右足を着地させたら、右の腸骨の位置をズラして左の腸骨と入れ替える。この動きを体得させるために、ときには子供が「嫌だ嫌だ」と駄々をこねて腰を左右にくねらすような動きを1、2時間も反復させた。
「僕、結構やらかしキャラだったので」
下山は高橋の将来を見すえた指導にこだわった。基礎が固まるまでは無理にマウンドには上げなかった。中学3年時に軟式野球の全国大会で優勝した際も「8番ライト」で起用した。すべては数年後に大輪の花を咲かせるための布石である。唯一気がかりな点を挙げるとすれば、それは彼に欲がなさ過ぎることぐらいだった。
「僕、結構やらかしキャラだったので」
高橋は照れ笑いしながら中高時代の自分を振り返り始めた。
【続きを読む】サブスク「NumberPREMIER」「後出しじゃんけんの天才」阪神タイガース・高橋遥人、“無双”のルーツを徹底解剖…本人と中高時代恩師が語るマニアックすぎる練習とは?《常葉橘高校》で、こちらの記事の全文をお読みいただけます。
Number1149号 <甲子園総力特集>エースがいた夏。 *書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

