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「ダルビッシュに申し訳なさすぎて」東北高4番の告白“人生で初めて本塁打を狙った日”「放心状態だった。自分のミスは自分で取り返さないと…」
posted2026/08/18 06:06
試合後の両チーム整列時、ダルビッシュは白熱の投手戦を繰り広げた千葉経大付のエース松本と抱き合い、笑顔で健闘を称え合った
text by

佐井陽介Yosuke Sai
photograph by
Asahi Shimbun
発売中のNumber1149号に掲載の[聖地ラストゲームの真実]ダルビッシュ有「雨に奪われた最後の1アウト」より内容を一部抜粋してお届けします。
痛恨のタイムリーエラー
ますます大きくなる雨粒でずぶ濡れになりながら、心の中で祈っていた。
俺のところに飛んでくるなよ――。
ところが、嫌な予感はときに最悪の形で的中するものである。
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1-0で迎えた9回表2死三塁。三塁の正面にゴロが転がった。白球が泥にまみれて茶色に染まっていく。東北の三塁手・横田崇幸は両足が鉛のように重たくなっていく感覚を覚えた。
ボールを弾いた。慌てた。一塁ベースの方向を確認できないまま、無我夢中で右腕を振った。悪送球――。痛恨のタイムリーエラーを犯したところで、彼の記憶はいったん途切れている。
「YouTubeで見返したら、エラーのあとに一度、マウンドに集まっています。でも、どうにもそのシーンを思い出せないんです。僕のエラーがなければ、ダルは3試合連続完封を達成できていた。あまりに申し訳なさ過ぎて、もう放心状態だったのだと思います」
記憶は1-1の9回裏から再開される。先頭は4番の横田。野球人生で初めてホームランを狙った。
「自分のミスは自分で取り返さないといけないと思って……。力み倒しました」
平凡なサードゴロ。大柄な4番打者は悠々アウトのタイミングで一塁ベースにヘッドスライディングした。泥だらけのユニホームでベンチに戻ると、屈託ない笑顔のダルビッシュ有が待ち構えていた。
相手エースが感じとった勝機の拡大
2004年8月17日の甲子園3回戦第3試合。試合は午後1時54分に始まった。直前の試合で横浜が明徳義塾との接戦を制した頃には、すでに薄暗い空から小雨が降り始めていた。天気予報によれば、夕方になるにつれてさらに天候は悪化するという。次の試合を戦う選手たちの多くは「中止だろうな」と早合点していた。そんな雰囲気をよそに、主催者サイドは試合開始に向けて粛々と準備を進めていた。
高校野球の甲子園大会は限られた期間で日程を消化しなければならない。地方から大挙して訪れている応援団のスケジュール、宿泊費も配慮する必要がある。台風の予報でもない限り、小雨の段階で試合を中止にすることはできない。

