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「これで当たらんのかあ」角中勝也が引退を決めた“ひと振り”「目と体が一致しない感じ」ヒットマンの誇りと「最後に涙を見せた」サブロー監督との絆
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梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2026/07/30 11:01
今季限りでの現役引退を決めた角中
長年の感覚ではヒットを奪えるボールも、バットが当たらない。今まで、そんなことを感じたことは一度もなかった。誇り高きヒットマンは覚悟を決めた。だから引退を公表した後の記者会見で、20年間の現役生活で最も印象に残った打席を聞かれて即答した。「引退を決めた三振です」と。
自分の現在地を、角中はこう言語化する。
「ボクの中で、目はプロ野球の中でもトップレベルに良い方だと自負している。今もボールは見えているけど、目と体が一致しない感じ。バットが出てこない。反応が衰えてきた。100%のポテンシャルで力を出しきらないと自分は通用しない選手だといつも思ってやってきたから90%とかだと一軍では厳しい」
「バット振っとけ」若手にかける言葉の意味
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成功体験よりも失敗体験から学び成長をする。角中はまさにそんな選手だった。「打ったことよりも、打てない時の方が印象に残っている」と、1345本のヒットよりも悔しかった体験の方が脳裏に刻まれている。そして数々の悔しさをエネルギーに変え、練習を続けてきた。
若い選手たちにアドバイスを求められると「とりあえずバットを振っとけ」と口酸っぱく言ってきた。「結局は練習をした選手が活躍している」というのが持論。「歯磨きのような感覚で野球をした。むしろ歯磨きより野球をした」と胸を張る。試合前の全体練習終了後には室内練習場で打ち込み、ビジターゲームではチーム本体より先に球場入りしてストレッチなどで身体をほぐすルーティンを欠かさなかった。
振り返ると身体の変化は2年前の2024年に、初めて感じとっていたという。キッカケは8月に体調不良で戦線離脱し、体調が戻ったあとも感覚を取り戻せなかったことだった。「身体の軸がスッと消えた感じがした」と独特の表現で悔やむ。
「あとで調べると、自分の症状はカンピロバクターの症状と似ていた。遠征先の外食でやられたのだと思います。ボクの中ではカンピロバクターに負けたと思っているんです」と自虐的に笑いながら言う。いろいろと試したがそれまで身体の中心にどっしりと居座っていた“軸”は、その後も戻ってくることがなかった。技術と経験を駆使し、なんとか結果を出し続けたが、39歳となった今、そのズレはもう見過ごせない状況となり、自ら潔くバットを置く決意を固めた。


