球体とリズムBACK NUMBER
「僕らはただ楽しんだだけ」ハーランドが怪物になった背景「子供に余計な重圧はダメ」「選別もNG」ノルウェーの“アスリート育成法整備”がスゴい
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井川洋一Yoichi Igawa
photograph byMutsu Kawamori
posted2026/07/21 17:00
ハーランドが圧倒的な存在感を放ち、初のW杯ベスト8進出を成し遂げたノルウェー。その育成システムは非常に興味深いものがある
79分に左からのクロスが入ると、ゆったりとした動作から急激にマーカーの前に飛び、長く宙に浮いている間に力を蓄え、頭でボールにアプローチする際に瞬間的に最大限のパワーを伝えている。そこにはハンドボールの跳躍と滞空の動作、クロスカントリースキーの効率的な力の生み出しが、あったように思える。そして瞬時の爆発的なスピードは、陸上競技で培ったものでもあるだろう。
アメリカでも、『CNN』に次のようなヘッドラインが走った。
【ノルウェーをスポーツ大国にしたカルチャーに迫る】
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そのなかで、ボーデ/グリムト──直前のシーズンのチャンピオンズリーグでマンチェスター・シティやアトレティコ・マドリー、インテル・ミラノを下して16強入りしたノルウェーのクラブ──のフローデ・トマセンGMが、こんな発言をしている。
「我々(ノルウェー人)は勝利だけにこだわらず、学ぶことを重視している」
競争ではなく、楽しみながら、学びを得る──。
子供に余計な重圧をかけてはいけない
ノルウェーでは、それが法律で守られていると同時に文化としてグラスルーツから根付いているようだ。元代表GKエリック・トルストヴェット──現代表のMFクリスティアン・トルストヴェットの父──は、この記事のなかで次のように話している。
「フットボールを楽しめば、それが人生で一番好きなものになる。子供たちに余計な重圧をかけてはいけないよ」
ブラジルとのラウンド16では、終盤にノルウェーの選手たちが楽しそうにボールを回していた。勝利の後、殊勲のエース、ハーランドは自身のソーシャルメディアにこう綴った。
「ブラジルでは2億5000万人(実際は約2億1300万人)くらいの人々が、代表チームの勝利を期待している。それは簡単ではない。ブラジルに重圧がのしかかっていたのは、今日の試合を見ればわかっただろう。僕らはただフットボールを楽しんだだけだ」
ウーデゴールも冬季五輪でも…一流アスリートが
北中米W杯では準々決勝でイングランドに敗れたが、ノルウェーにはハーランドとマルティン・ウーデゴールという真のトッププレーヤーがいる。また先のミラノ・コルティナ冬季五輪で、新記録となる18個の金メダルを獲得したように、それ以外のスポーツでもトップ中のトップレベルのアスリートが少なからずいる。

