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「精神的に良好とは言えない」苦境を乗り越えた藤井聡太六冠が伊藤匠二冠と王位戦で頂上決戦中だが…「両者は読みが合わない」ある棋士の視点
posted2026/07/19 06:00
藤井聡太六冠は王位戦に臨んでいる
text by

田丸昇Noboru Tamaru
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日本将棋連盟
伊藤園お~いお茶杯第67期王位戦七番勝負は、藤井聡太王位(竜王・名人・棋王・棋聖・王将を合わせて六冠=23)に伊藤匠二冠(叡王・王座=23)が挑戦している。タイトル保持者同士が対戦した頂上決戦だ。両者は別のタイトル戦でも防衛を果たして充実している。王位戦第1局は7月4、5日に静岡県浜松市「浜松八幡宮楠倶楽部」で行われ、伊藤二冠が激闘を制して先勝した。その戦いぶりを田丸昇九段が解説する。【棋士の肩書と年齢はいずれも当時】
「精神的に良好とは言えない」冬を経て
藤井六冠は将棋界の絶対王者といえる存在だが、2月から3月に並行して行われた2つのタイトル戦で負けが込んだ。
ALSOK杯第75期王将戦七番勝負では、藤井王将は挑戦者の永瀬拓矢九段(33)に1勝3敗と大きく負け越した。また第51期棋王戦コナミグループ杯五番勝負でも、藤井棋王は挑戦者の増田康宏八段(28)に1勝2敗と負け越した。タイトル保持者が同じ時期の2棋戦で、カド番に追い込まれた例は珍しい。
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さすがの藤井も「将棋の内容が良くない。課題が解決されていないことが、結果に出てしまった。精神的に良好とは言えない」と弱音を吐いた。それでも「目の前の一局に全力で集中し、少しでも番勝負を続けたい」と語って前を向いた。
そして藤井は、王将戦で1勝3敗から3連勝。棋王戦も1勝2敗から2連勝。いずれもカド番をしのいで逆転防衛を果たした。大棋士ほど逆境に強いことを実践した。
藤井は王将戦第7局の終局後に「防衛できたのは不思議な気持ち」、棋王戦第5局の終局後に「追い込まれてからは開き直って指せた」と、それぞれ率直な思いを語った。
藤井は王将戦と棋王戦で想像以上の苦しさがあったが、逆転防衛で気持ちが軽くなったという。それを契機に以降のタイトル戦で本来の強さを発揮していった。まさに「ピンチの後にチャンスあり」だ。
第84期名人戦七番勝負は、藤井名人に糸谷哲郎九段(37)が初挑戦した。最近の糸谷は力将棋を得意としている。名人戦でも毎局、独自に工夫した指し方を見せた。藤井は冷静に対応し、随所で意表を突く好手を指して連勝した。第3局の中盤で△4五歩と打って相手の銀にわざと取らせる順は、「将棋史に残る毒まんじゅう」と表現されて話題になった。
《名人に定跡なし》という言葉がありますが
藤井名人は糸谷九段に4連勝し、4期目の名人を獲得した。来期の名人戦で5連覇を達成すれば、規定によって二十世名人の永世称号を取得する。

