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「ぼくは直接、差別されたことはない」大阪の“ラグビーの街”で育った在日コリアン4世・金勇輝(33歳)「ゆうきとヨンヒ」2つの顔を使い分けた小学生時代 

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山川徹

山川徹Toru Yamakawa

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posted2026/07/17 11:01

「ぼくは直接、差別されたことはない」大阪の“ラグビーの街”で育った在日コリアン4世・金勇輝(33歳)「ゆうきとヨンヒ」2つの顔を使い分けた小学生時代<Number Web> photograph by Toru Yamakawa

昨シーズンまでレッドハリケーンズ大阪でプレーした金勇輝(33歳)。現役を引退し、現在は社業に専念する

 大柄な選手がスクラムを組む。長身の選手が空中でボールを奪い合う。小柄な選手でもパスやキックのスキルが高かったり、スピードがあったり、どんな相手に対してもタックルを恐れない勇気を持っていたりすれば、活躍の場がある。様々な体格や性質を活かせるスポーツがラグビーだ。

「ラグビーは15人それぞれに特別な役割が与えられたスポーツです。サッカーのメッシ選手や、野球の大谷翔平選手は一人で試合を決めてしまうこともあります。でも、ラグビーではどんなに強くて上手い選手がいても一人では勝てません。一人で局面を打開するのは、ラグビーというスポーツの構造上、ほとんど不可能です。だからこそ、One for all, All for one――助け合いが必要になります。それぞれが違っていていい。その違いがあるからこそ、一つのチームになれる。そこがぼくにとってラグビーの魅力ですね」

 “それぞれが違っていていい”というラグビーの価値観が、金の人格を形づくった。

「ゆうき」と「ヨンヒ」

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 自分と仲間との違い。金少年がはじめて気づかされたのは、グラウンドの外だった。

 両親やラグビースクールの仲間たちは、金を「ゆうき」と呼んだ。しかし小学校から進んだ朝鮮学校では「ヨンヒ」と呼ばれる。

「子どもの頃は『ゆうき』と『ヨンヒ』という2つの顔を使い分けていたのかな。うまく説明できませんが、なんとなくそんな感覚がありました」

 自問するかのような口調に、幼少期の苦悩が垣間見える。ただ、と金は続けた。

「自分は日本人でも韓国人でもない、という感覚は明確にあったんです」

 自分と他者の違いに戸惑う少年を自然に受け入れてくれたのが、ラグビーだった。

「グラウンドでは、ルーツに関係なく、日本人だろうが、在日だろうがタックルに行くヤツが一番偉い。ぼくは直接、差別をされた経験はありません。それは、ラグビーを通じて知り合った仲間が受け入れてくれたからだと思います」

【次ページ】 社会問題になったヘイトスピーチ「絶対に負けたらあかん」

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