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「そりゃ中村敬斗だしな…」指導者が予言していたW杯での活躍…“少年時代の中村敬斗”いったい何がすごかった?「“育てた”なんて全く思わないです」 

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澤田将太

澤田将太Shota Sawada

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photograph byKaoru Watanabe/JMPA

posted2026/06/20 11:16

「そりゃ中村敬斗だしな…」指導者が予言していたW杯での活躍…“少年時代の中村敬斗”いったい何がすごかった?「“育てた”なんて全く思わないです」<Number Web> photograph by Kaoru Watanabe/JMPA

日本代表の得点源として大きな期待を集める中村敬斗。少年時代の指導者はW杯での活躍を“予言”していた

 それだけ多くの子どもたちの指導にかかわったのは、やはり才能ある選手を発掘するためだったのだろうか。疑問をぶつけると、野寄は「そうじゃないんです」と首を振った。

「上手な子がいると、どうしてもその子だけにボールが集まっちゃうでしょ? だからうまい子、中くらいの子、そうじゃない子を分けて、リーグ戦を作ったんです。そうしたらみんなが主役になるチャンスができるし、サッカーを好きになってくれるじゃないですか。もちろん親御さんも喜ぶ。そうやって多くの人にサッカーを好きになってもらうことが、結果的に日本のサッカー文化を育てることにつながると思っていたんですよ」

 エリート育成のためではなく、誰もがサッカーを楽しめる場所を用意する。その哲学を貫き、多くの子どもたちに門戸を開き続けた結果として、中村敬斗のような「別格の才能」もまた、自然とトーアに引き寄せられていったのだ。

「“育てた”なんて全く思わないです」

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 約半世紀にわたる指導歴のなかで、野寄の考え方は一貫している。現代の育成現場ではポジショニングやプレーの判断基準などについてもジュニア年代から細かく教えるケースが多いというが、トーアの育成方針は違った。

「低学年のうちは、あまり教えないですね。ボールタッチとかキックの基本はやりますけど、そこからは放っておく。すると、自分で考えるようになるんです。どんなフェイントが効くのか、どうすれば抜けるのか。それを大人が先回りして教えてしまうと、子どもたちは自分で考えることをしなくなってしまう。そうすると楽しさもなくなっちゃいます」

 パスによるポゼッションを基調としたレイソルの哲学が合わずに去った中村だったが、トーアではドリブルもシュートも許されていた。むしろ、野寄の自由な育成論のなかで輝く才能こそが、中村だったのだ。

「彼にかぎらず、他の選手たちも僕が何かを教えたわけじゃない。本当に勝手に伸びていっただけ。“育てた”なんて全く思わないです」

 子どもたちの自主性を大切にし、教えすぎないことを美徳とする野寄だが、じつは幼少期のうちに、ある「感覚」だけは仕込んでいた。

 それがリズム感だ。

【次ページ】 中村敬斗にとって重要だった「個の尊重」

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