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「本当のバカじゃバカなことはできないんだよ」ガッツ石松が死去の1年前に遺していた“ガッツ語録”…ゴリラの写真を指さして「これ、栃木にいる親戚」
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松永多佳倫Takarin Matsunaga
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi/AFLO
posted2026/06/13 11:06
2011年度のボクシング年間優秀選手表彰式で祝辞を述べるガッツ石松さん。「世界チャンピオン会」の初代会長も務めた
「本当のバカじゃバカなことはできない」
ガッツさんが独特のキャラクターを駆使して芸能界で成功したことで、具志堅用高や渡嘉敷勝男も引退後にタレントとして人気を博した。元世界王者たちがコメディアンのように見られるようになった点について尋ねると、こう答える。
「生きていかなくちゃいけないし、それぞれの道だから。最初周りは、ボクシングをやってきたやつはこんなこともできないだろうって穿った目で見るからね。こっちもいろんな形でバカなことやるけど、本当のバカじゃバカなことはできないんだよ」
自分に求められていることをすばやく察知し、期待以上の発言や行動で応える。相当に思慮深く、頭の回転が速くないとできない芸当だ。
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最後にガッツさんは、「これだけは言いたい」と険しい顔でこう話した。
「ボクシングだって、野球だって、サッカーだって、相撲だって完璧なシステムなんてどの世界もない。ただひとつ言えることは、指導者がもっともっと勉強しなくちゃいけないってこと。ひとつの分野で突出するのは当たり前で、指導するにあたっては他の分野も研究する必要がある。知識を得るためにビジネス書ばかり読んでいてはダメ。歴史、哲学、文学も読まなきゃ」
まさにその通りだと思い、思わず「いま何か読んでいる本はありますか?」と尋ねると、「うん、絵本しか読まない」とすぐに返ってきた。
本当にガッツさんの言葉には、摩訶不思議なものを感じる。老いたとはいえども「ガッツ伝説」を生で体感できたのは、まさしく感動ものだった。
2時間超と予定の時間を大幅に超えた取材を終えて席を立とうとすると、ガッツさんがふと、思い出したかのように言った。
「ここに倉本聰先生が来たんだけど、初めて会って挨拶されたときに『そうっすか』と言ったら、さすがに怒られたね」
ガッツさんは満面の笑みを浮かべた。そして「いま行方不明だから、栃木で見かけたら教えてね」と言って、ゴリラの写真を見つめた。
合掌。


