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「本当のバカじゃバカなことはできないんだよ」ガッツ石松が死去の1年前に遺していた“ガッツ語録”…ゴリラの写真を指さして「これ、栃木にいる親戚」
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松永多佳倫Takarin Matsunaga
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi/AFLO
posted2026/06/13 11:06
2011年度のボクシング年間優秀選手表彰式で祝辞を述べるガッツ石松さん。「世界チャンピオン会」の初代会長も務めた
「おい、黙って喋れ」飛び出した“ガッツ語録”
そもそもガッツさんを取材した理由は、1960年代から70年代にかけての日本ボクシング界の群像劇を描くドラマの題材を集めるためだった。あまりボクシングについての取材をしたことがないこちらの事情も踏まえて快諾してくれ、話を聞きやすい空気を作ってくれたのだ。ガッツさんの優しさに触れた気がした。
そこからしばらくはボケが封印され、ボクシングの話を深く、丁寧に語ってくれた。海外での試合のエピソードや、当時の日本ボクシング業界のジムと選手との関係性など、多岐にわたる話題が繰り広げられた。
「海外でいい試合をやるからプロモーターに呼ばれる。だから芸能界に行っても、例えばスピちゃんとかマイケル・ダグラスなんかも俺の試合を見てるんだよ。演技の実績なんかなくても『おお、あのときのお前かぁ』って海外でやったタイトルマッチの試合を思い出してくれるからハリウッドにも呼ばれた。普通だったら呼ばれない」
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ガッツさんはボクシング引退後、タレント活動と並行して俳優業にも勤しんだ。リドリー・スコットが監督を務め、マイケル・ダグラス、アンディ・ガルシア、松田優作、高倉健ら日米の名優が共演した『ブラック・レイン』、スティーブン・スピルバーグ監督の『太陽の帝国』のほか、倉本聰の『北の国から』や橋田寿賀子の『おしん』まで、多くの大作や名作に出演する。
「私は、芸能界とはこういうもんだと割り切っている。その代わりボクシングの世界でちょっとでも礼節がなかったりしたら『こら!』って言う。だから私がいると、みんなピリっとしますね。一応、世界チャンピオン会の初代会長だったから。私はそこでも威張れないけど、せっかくの集まりなのに皆がペチャクチャ余計なことを喋ってたら『おい、黙って喋れ』って怒り出すからね」
出た、ガッツ語録だ。語句の意味は矛盾しているが、言いたいことはなぜか伝わる。
「世界を獲って何回も防衛する奴は気合いが違う。『おい』って注意されたら、『なんで俺があいつに言われなくちゃいけないんだ』っていう反骨精神がある。おちょくられてもひねくれているようじゃダメ。伸びる奴はひねくれてない」
アスリートとして大成するために、ガッツさんは怒りや悔しさなど素直な感情をパワーに転化することの重要性を説く。昔も今も「なにくそ」とストレートに思う気持ちが成長を促す、ということだろう。

