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「周りは気にせず自分のルーティンを…」カープ代走の切り札・辰見鴻之介が、クルマにも繁華街にも興味を向けず「最高の準備」にこだわる理由
posted2026/05/25 18:22
俊足を活かしてダイナミックなプレーを披露する辰見
text by

前原淳Jun Maehara
photograph by
SANKEI SHIMBUN
昨オフの現役ドラフトで広島にやってきた辰見鴻之介は今季、切り札として欠かせない存在となっている。主戦場は試合終盤の代走。それでもリーグ2位の盗塁数を記録するなど(5月25日時点)、強烈なインパクトを残している。
楽天時代の3年間で一軍出場はわずか2試合だったが、新天地ではコンスタントに出場機会を得て、スタメンに名を連ねることもある。
いまがプロ野球人生の転機だ。躍進を支えているのは、スピードだけではない。
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「速くて、強い──」
2月の春季キャンプで初めて辰見を見たとき、そんな印象を受けた。
辰見はいつもひとりだった。
全体練習後の個別練習を終えた選手たちが次々に帰り支度を整える中、辰見はひとり、グラウンドにいた。土をならすトラクターだけが走るメイングラウンドの両翼ポール間を、ジョグよりもゆっくりと地面を掴むような足取りで何度も往復していた。
何よりもルーティンを重視
「速く走ろうと思えば走れるけど、速く走るときは体の使い方を意識できないのであえてゆっくり走って、体のバランスや地面からパワーをもらう感じや、地面からもらったパワーを全身に伝える連動性などを意識しています。体を整えて帰るためにやっています」
新しいコミュニティーに入れば、その輪に溶け込もうと周りに合わせようとしても不思議ではない。だが、辰見はシーズンに向けた準備にすべてを注いだ。キャンプ地から宿舎へ向かう選手バスの最終点呼に、その姿は毎日のようにあった。
「やるべきことを怠ると後悔してしまう。周りは気にせず、自分のルーティンをやるようにしています」
周りに流されない姿勢は、私生活にも表れる。高級車が並ぶマツダスタジアムの駐車場でも、辰見の愛車は小型クロスカントリー4WD車。試合後も繁華街へ繰り出すことなく、全国チェーンの飲食店や24時間営業の牛丼店などで食事を摂り、生活リズムも崩さない。
