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「周りは気にせず自分のルーティンを…」カープ代走の切り札・辰見鴻之介が、クルマにも繁華街にも興味を向けず「最高の準備」にこだわる理由 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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photograph bySANKEI SHIMBUN

posted2026/05/25 18:22

「周りは気にせず自分のルーティンを…」カープ代走の切り札・辰見鴻之介が、クルマにも繁華街にも興味を向けず「最高の準備」にこだわる理由<Number Web> photograph by SANKEI SHIMBUN

俊足を活かしてダイナミックなプレーを披露する辰見

 楽天時代の経験もある。育成選手として入団し、支配下選手登録を勝ち取った直後のオフに再び育成選手となった。自分ではコントロールできない現実を突きつけられ、意識はより“自分でコントロールできること”へ向くようになった。

 新天地で自分の武器に磨きをかけるため、楽天時代は禁止されていたヘッドスライディングを解禁した。今季から導入された“拡大ベース”も踏まえ、「タッチからよけやすくなる」と春季キャンプから試行錯誤を重ねた。

 その積み重ねがプロ初の開幕一軍入りにつながった。代走という役割は一瞬で試合を左右する。試合中はベンチ裏で体を整えるが、心の準備は前日から始まっているという。

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「一日が終わって次の日の出番までずっと準備だと思っています。たとえ失敗して終わっても、すっきりして寝て、次の出番に向けて心を整えたい。行く直前にはできないことだと思うので、長い目で捉えています」

心を整えるための術

 試合後は自身の出番の有無にかかわらず、ストレッチやコンディショニングを終えてから球場を後にする。帰宅後は静かに目を閉じ、その日のプレーを振り返りながら翌日のシミュレーションを行う。

「最高の準備をして、明日も全力を出し切ろう」

 そう心に決め、愛読書に手を伸ばす。毎日のように小説を読む読書家だが、寝る前は決まって『覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰』を開き、数ページ読む。最後まで読み終えれば、また最初のページに戻る。その繰り返しだ。

 心技体の崩れはわずかな動きの遅れにつながり、スタートや加速にも影響する。だからこそ、心を整える。

 相手投手の傾向や癖を映像から探っても、試合では覆されることもある。辰見のスピードには他球団もすでに警戒を強めていると、一塁コーチを務める小窪哲也内野守備走塁コーチは言う。

「タツが走者に出ると、投手の動きが変わるんです。試合前に見ていた映像とも違う。だから『無理に行かなくてもいい』とは伝えています。求められているのは盗塁ではなく、得点することなので」

【次ページ】 さらなる成長のために

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