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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「防御率4.97でもメジャー昇格」3年目・松井裕樹の“リアルな現地評”…42歳のパドレス新指揮官が託した思い「俺はボールを渡す準備はできている」
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph byGetty Images
posted2026/05/23 11:04
メジャー3年目、松井裕樹の現在地とは
松井は今季から調整方法を変えた。昨季まで試合前のルーティーンだった遠投をやめた。全力投球する出力を保つためには大切なメニューだったが、昨季終了後にフォームを見直し、遠投を練習メニューから外した。
「オフからやっていないです。50mくらいは投げるけど、昨季のような80mまでは投げていません」
理由は明確だった。遠投で強く投げる際、顔や上半身が上を向き、投球動作で体が浮き上がるような癖が出る。制球と再現性を高めるため、今は強く低い軌道のキャッチボールを重視している。
「抑えるしかないです」
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年間を通じた負荷の管理もある。リリーフ投手は登板前にブルペンで肩を作り、試合でも全力で投げる。遠投が重なると、肩や肘への負担は増える。
「毎日遠投をするとワークロード(負荷)は多過ぎる。マウンドに行く時は、ブルペンでも投げる。ワークロードの総量が多い。リカバリーとパフォーマンスの両面を見ています」
メジャー3年目の松井は、中継ぎ投手として競争しなければならない。2年連続で60試合に登板した実績があっても、ブルペン内の序列は下位だ。あえていうなら、敗戦処理からのスタート。だからこそ、メジャー初登板でいきなり自己最長の2回2/3を担った。
「抑えるしかないです。抑えていけば(首脳陣が)この点差なら使ってもいいかな、と思ってくれるように」
当面は点差の開いた場面、複数イニングなど、あらゆる役割で結果を出さなければならない。その先にリードしている6回、7回を任される可能性がある。
指揮官がかけた粋な言葉
実際、メジャー復帰後の成績は上々だ。5月23日時点で5試合(10回)を投げ、無失点、防御率0.00をマーク。だが、イニング途中のマウンドで前の投手が残した走者の生還を許している。数字上は、ゼロが続いているが、松井自身は満足はしていないはずだ。
今季から指揮を執る42歳のクレイグ・スタメン監督はメジャー合流した日、松井にこんな言葉をかけた。
「準備はできているか? 俺はボールを渡す準備はできている」
点差のある場面でゼロを続け、連投のリリーフ投手が起用できない日に代役を務め、結果を出す。そして、少しずつブルペンでの序列を上げる。それが、松井が望む勝利継投に入り込むためのシナリオだ。ポストシーズンまで含めれば、今季はあと6カ月ある。松井の勝負は、これからだ。〈前編も公開中です〉


