- #1
- #2
メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
「防御率4.97でもメジャー昇格」3年目・松井裕樹の“リアルな現地評”…42歳のパドレス新指揮官が託した思い「俺はボールを渡す準備はできている」
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph byGetty Images
posted2026/05/23 11:04
メジャー3年目、松井裕樹の現在地とは
しかし、高地では、この特徴が消えてしまう。一番の武器が、威力を失う。調子が悪いのではなく、土地の環境が投手不利だからだ。ルーベン・ニーブラ投手コーチもこう証言する。
「私たちは、マイナーでリハビリをする投手の評価で成績自体はあまり考慮しない。打者に有利過ぎる環境だからだ。球速がしっかりと出ているか、体が健康なのか。それが大事だ」
だからこそ松井は、自分の状態を見失うことなく冷静にステップアップした。
ADVERTISEMENT
「マイナーでも球が速い方ではないので、ストレートの垂直方向の変化が削られたら、ただの球の遅い、伸びのない投手になっちゃう。それはやっぱりきついです。打球も伸びます。ただ、フォームやメカニクスにフォーカスしていました」
本拠地に戻り「びっくりした」出来事
打たれたか、抑えたかではなく、体の力がリリースに伝わっているか、目指す投球フォームを再現できているか。それらが、メジャー復帰の判断材料として重要だった。松井自身はマイナーでの投球に対して結果にフォーカスするのではなく、体と投球動作を試合に戻す作業として受け止めていた。
無意識のうちに左脚をかばってしまう体の動き、記憶を修正することも必要だった。サンディエゴに戻って驚いた出来事があった。
「ペトコパークに来て、びっくりしました。自分のボールの動きが分かっていなかった」
キャンプとリハビリをしていたアリゾナもまた極端に空気が乾燥している地域。そしてPCLの高地で投げている間、自分本来の球筋を正確に測ることは難しかった。それでも確かな手応えがあった。
調整方法の変化
「全部の力がつながって、ここ(リリースポイント)に伝わっている感覚が、最後の方には出てきたので、それがあれば、戻れば大丈夫だと思えました」
防御率4.97でも合格と言える根拠は、ここにある。必要だった復帰への“テスト”は完璧なマイナー成績ではなく、メジャーのマウンドで戦える体の連動だった。

