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「まるで反抗期の少年だった」坂本勇人の“意外な素顔”に惹かれて…記者が見た“ヤンチャ青年”が巨人のスターになるまで「サインは子どもから先に書く」
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樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph bySankei Shimbun
posted2026/05/15 17:02
ホームラン王を獲ったことは一度もない。それでも巨人・坂本勇人には…(写真は2009年、20歳だった頃の坂本)
自分が初球を打つと、後ろを打つ当時2番の松本哲也が相手投手の情報を得られない。だから彼は必ず「今日、初球行きます」と松本に宣言してから打席に入っていた。たまに初球を打ってしまったときは「初球打ってゴメンナサイ」と松本に謝ったそうだ。今のように豊富なデータがある時代ではなかった。「初球打ち」の謝罪は後日の焼肉オゴリなどでチャラにしてもらっていたようだ。
買い物好き&愛用コンポを長年使用
また、年上の新人として入団してきた長野久義に対し、当時すでに主力だった坂本が「なんでも聞いてくださいね」と自分から声をかけていた光景も見たことがある。繊細で慎重派な長野は喜びを感じながら「やんちゃだけど、ハヤトはちゃんとわきまえている」と感心していた。マウンドでガチガチに緊張する、育成から支配下選手になったばかりの山口鉄也をリラックスさせるため、タイムで集まったとき野球とは無関係な冗談を言うやさしさも持っていた。取材ではぶっきらぼうでも、仲間への気遣いと、人情があった。行動でそれが伝わった。
インタビューでは、野球とは関係ない話もよくした。15万円もするモンクレールのダウンジャケットを即決したという話になって「買い物大好き」「ストレス発散になった」と華やかにはしゃいでいたかと思えば、高校時代から愛用していたCDコンポがボンッと音を立てて爆発するも「そのあとなぜか使えるようになったから使ってる」という、物持ちがいいというか、超庶民的なエピソードでも笑わせてくれた。郵送で届いたファンからのアンケートを熟読し、質問に答える取材では「25歳・無職」という記載を見つけて、「だめでしょう! 25歳で無職はだめでしょう!」と一人の人間としてファンを心配する素朴な一面も(このときは、不覚にも笑ってしまった)。

