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「結局は結果でしか判断されないのかよ、と」“貴族”佐藤天彦が振り飛車をあきらめ…初の順位戦A級3連敗「残念、無念さが」ホンネを吐露

posted2026/05/16 11:14

 
「結局は結果でしか判断されないのかよ、と」“貴族”佐藤天彦が振り飛車をあきらめ…初の順位戦A級3連敗「残念、無念さが」ホンネを吐露<Number Web> photograph by Shintaro Okawa

2016年名人戦での佐藤天彦九段。名人戦朝鮮語の後のA級順位戦でのリアルな心境を語ってくれた

text by

大川慎太郎

大川慎太郎Shintaro Okawa

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Shintaro Okawa

 将棋界のトップ棋士・佐藤天彦九段が、藤井将棋や自身の2025年度順位戦についてなど、忌憚なく語り尽くしてくれた。〈NumberWebインタビュー/全3回〉

「すべてが崩れてしまった」痛恨のミス

——順位戦の話に戻ります。A級の初戦で敗れ、他の棋戦でも黒星が続く苦しい時期だった8月8日に2回戦の豊島将之九段戦を迎えます。天彦さんは先手番で三間飛車を採用されて、評価値上では有利になっていたようですが?

「中盤はやれるかなという気はしていたんですけど、読んでみるとどこまでいっても大変でした。終盤の入り口でと金を払うのに二択で間違えてしまいました。金で取ったのですが、実際は角で取ったほうがよかった。最初は角で取ろうかなと思ったんですけど、角が3七の地点を支えていたほうが堅いので、金のほうがいいかなという判断だったんです。このミスですべてが崩れてしまいました」

——これで2連敗。豊島戦の後に叡王戦を戦ったのですが、天彦さんは後手で居飛車を採用しています。

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「序盤の出だしに含みを持たせていますけど、久しぶりに居飛車を指しました。居飛車再転身の理由としては去年、新作として用意していた先手番の8八銀型三間飛車で結果が出ず、評価もされなかったことが大きかったです。しかもそれは先手番の話で、後手の振り飛車はさらに大変です。後手番である程度勝負ができるからこそ、先手番で遊べるところもある。だから先手番でクリエイティビティは高くても、期待勝率がそこまで高くない戦法をやり続けることが難しくなってきました。しかも気持ちとしては、8八銀型三間飛車は斬新な作戦だと思うんですよ。これを構築するのに半年ぐらいはかかっていたんですけど、コンセプトや思想が理解されていないように感じました。自分で言うのもなんですけど、結局は結果でしか判断されないのかよ、と」

「結果でしか判断されないのかよ」芸術家肌の苦悩

——将棋は純粋な芸術ではなく勝負ですから、白星がついてこない戦法が注目されないのもある程度は仕方がない。ただまったく顧みられないと、じゃあ日本将棋連盟のサイトを翌日に見て「〇—●」だけ見て判断すればいいじゃん、と思いたくなるのもわかります。

【次ページ】 最も勝ちたかった将棋…3連敗の苦境へ

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