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名人・藤井聡太23歳は“完璧な将棋”をあえて捨てているのか「天才は元に戻れないです」”面白い将棋”への変化と苦悩とは…佐藤天彦九段が推察
posted2026/05/16 11:13
2026年初頭は“二冠失冠”危機を乗り越えた藤井聡太六冠。佐藤天彦九段の目から見てどのように映るか
text by

大川慎太郎Shintaro Okawa
photograph by
Keiji Ishikawa
第84期名人戦では藤井聡太六冠に糸谷哲郎九段が挑戦している。その糸谷と順位戦A級で挑戦権を争ったのが佐藤天彦九段である。そんな佐藤九段が3月11日にXのスペースにて応じてくれたインタビューの様子を文章にて紹介する。
取材時点で藤井六冠は王将戦と棋王戦でカド番に追い込まれ、最終的には防衛したものの苦戦を強いられた。その背景について佐藤九段はどのように見たのか。
「振り飛車は厳しい」開幕黒星だったA級順位戦
——天彦さんにとって2025年度の第84期A級順位戦はまさに波乱万丈という言葉がしっくりくる期だったと思います。開幕から最終戦まで振り返っていただきますが、まずA級のリーグ表を初めて見た時、どんなことを思いましたか?
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「その前の24年度の順位戦開幕時、私は振り飛車党でした。自分の実力や調子もありますが、実際に1年戦ってみて、振り飛車は全般的にかなり厳しいトレンドになりつつあるという感触がありました。24年度はA級でプレーオフに進出することができたのですが、その辺りからは実際に勝てなくなっていましたしね。なので挑戦や残留がどうこうよりは、振り飛車でどう戦おうかなということに意識が向いていました」
——6月20日の開幕戦の相手は増田康宏八段で、天彦さんは後手番で四間飛車を採用しました。
「増田さんの先手番の『箱入り娘』という作戦が強敵だと思っていたので、それを避けるべくひねった指し方をしています。ただ藤井猛九段とよく言ってることなんですけど、研究を避けた先にまた研究があるという感じで(笑)。難しい中盤戦になったんですけど、かなりプレッシャーをかけられて、時間を使って対応せざるをえなかった。基本的に居飛車は何をやっても悪くはならないので、かなり対応に苦慮しました。決して作戦だけでやられてしまったわけではないんですけど、振り飛車の難しさが出た感じがしました」
藤井を追い詰めた増田の“作戦選択センス”
——ちなみに増田八段はいま棋王戦で藤井聡太棋王に挑戦しています。第3局終了時点で増田八段が2勝1敗でリードしていますが(結果は3勝2敗で藤井棋王が防衛)、天彦さんは棋王戦をどう見ていますか?

