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「はあ…」“最強・藤井聡太”復活の一局に永瀬拓矢がタメ息「研究会では近い棋力の方がいない」構想を無力化した“不調説払拭”の真相とは

posted2026/03/25 11:01

 
「はあ…」“最強・藤井聡太”復活の一局に永瀬拓矢がタメ息「研究会では近い棋力の方がいない」構想を無力化した“不調説払拭”の真相とは<Number Web> photograph by Shintaro Okawa

王将戦を3勝3敗のタイに戻した藤井聡太六冠

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大川慎太郎

大川慎太郎Shintaro Okawa

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Shintaro Okawa

永瀬拓矢九段が王将戦第6局直後、旧知の記者に語った藤井聡太六冠の強さの正体と、来たる大一番への本音とは。〈NumberWebノンフィクション/全4回の1回目。段位・肩書は初出以外省略〉

最強の藤井聡太が戻ってきた

 最強の男が帰ってきた。

 藤井聡太王将がALSOK杯王将戦第6局を制し、シリーズを3勝3敗のタイスコアに戻した。一時期は1勝3敗と崖っぷちに追い込まれていたが、連勝でフルセットに持ち込んだのだ。一度も非勢に陥ることのない強い内容だった。

 先手の藤井が得意の角換わりに誘導すると、後手の永瀬拓矢九段が序盤早々に7筋の歩を突き捨ててから右桂を跳ねる。部分的にはよくある仕掛けだが、かなり早いタイミングだった。温めていた研究をぶつけていることが明確にわかった。

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 後手は8筋の歩を交換してから1筋を攻撃して拠点を築くのが新しい指し方だ。藤井も黙ってはいない。角を打ってから4筋と2筋で歩を突っかける。先手が2筋に継ぎ歩をしたところで、永瀬が8八に歩を打つ。その局面で藤井が封じ、初日が終了した。

 対局2日目の3月19日、藤井の封じ手はその8八の歩を角で取る手だった。その後、先手は飛車で香を奪い、竜と馬を作り合う展開になった。日本将棋連盟のモバイル中継の期待勝率は、すでに先手61%を示している。ここまで後手の永瀬には一度たりとも形勢の針が振れることはなかった。

 前局の第5局は2日目の午後2時過ぎに形勢の針が大きく動いて後手の藤井が逆転に成功したのだが、本局は違った。午後に入っても針は永瀬側どころか、さらに藤井側へと傾いていく。

「はあ」と嘆息を漏らす永瀬の姿が

 午後3時前、私はJR名古屋駅に到着した。「名古屋将棋対局場」は「ミッドランドスクエア」の25階にある。この複合商業ビルはは名古屋駅に地下で直結しているため、利便性が高い。

 エレベーターに乗るとすぐに、名古屋の街並みが鮮やかに浮かび上がってきた。見知らぬ同乗者が「わあっ」と歓声を上げる。勝負中の藤井と永瀬は、この見事な眺望を目にとめただろうか。

【次ページ】 興味を惹いた“永瀬へのある質問”

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