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「反応」「ジリジリで」「(中谷潤人は)一発あるからね」井上尚弥の試合運びを支えた真吾トレーナーの“声掛け”の妙とは「右ドン、アッパー!」
posted2026/05/13 06:00
井上尚弥と中谷潤人のビッグマッチの試合展開に大きな影響をおよぼした真吾トレーナーの「声掛け」とはどんなものだったのか?
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
井上真吾トレーナーの声は、東京ドームにあってもよく響く。
<いいよ~いいよ~、反応だよ、反応、反応。反応だよ、まずは反応だよ~>
5月2日、世界スーパーバンタム級4団体統一王者、井上尚弥と中谷潤人による無敗対決。試合が始まると早速、真吾トレーナーの声が飛ぶ。初回から「反応」というワードが並んだので後日、配信映像を確認してみると、聞き取れただけでも1ラウンド中に20回近くあった。
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真吾トレーナーは、ご存じのとおり尚弥、拓真兄弟の父であり、彼らが幼少のころからボクシングを教え、プロになってからもずっとセコンドについてきた。今年1月、リング誌やWBCの2025年最優秀トレーナー賞にも選出されている。
彼らのことを最も理解しているし、逆に理解されてもいる。ツーカー、あうん、以心伝心……それらの言葉を超えるほどの信頼関係がある。
真吾トレーナーの声掛けの意図を追う
父はやみくもに指示を伝えているのではない。むしろ、しっかりと考えて発していることがよく理解できる。今回はメインイベントにおける真吾トレーナーの声掛けにテーマを絞って、本稿を進めていきたい。
<反応>とは、すなわち相手の動きに対するリアクションである。
鋭いジャブや鋭いステップインからのパンチには<ナイス><いいよ>で済ませ、むしろ足で距離を支配して、相手のパンチをかわすことを意識させている。もとい、無意識へのアプローチと言うべきか。練習でずっと刷り込ませてきたものを自然に出していくべく仕向けるように、反応の二文字から<足で反応><タイミング使って足だよ>と言葉を広げていく。

