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ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥の“エグい右”を世界的カメラマンはとらえていた…中谷潤人が眼窩底骨折“あの右アッパー”の直前にあった決定的瞬間「“中谷の空気”が変わった」
text by

福田直樹Naoki Fukuda
photograph byNaoki Fukuda
posted2026/05/08 11:26
試合終了のゴングと同時に、笑顔で抱擁をかわす両雄。井上尚弥と中谷潤人の歴史的一戦は、ファンにとって極上の体験だった
片目が使えなくなったうえに激痛を伴っていたはずで、場合によってはそこで試合が終わってしまうくらいの深手です。それでも中谷選手には打ち返す闘志があった。あれほどの苦境から、井上選手を相手に最後まで戦い抜いたというだけでも、中谷選手のすごさはわかってもらえるのではないでしょうか。
言うまでもなく、あの場面で決定的なアッパーを当てられる井上選手の技術力、勝負強さはやはり際立っていました。接戦になりかけていたところから、11ラウンドではっきりと抜け出した雰囲気があった。真のスーパーチャンピオンとしての貫禄を見せた――そう言えると思います。
「偉大なふたりが、偉大な試合をした」極上の体験
本当に素晴らしい試合でした。正直に告白すると、ひとりのボクシングファンとしてワクワクしていたのと同時に、どちらが負ける姿も見たくなかった。だからこそどんな終わり方になるのかという不安もあったのですが、今は「いいものを見た」という感慨だけが残っています。
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もちろん中谷選手は本気で悔しがっていましたし、判定までいって満足という雰囲気はまったくなかった。それでも、敗れた側の評価も確実に上がったと思います。試合前は「井上有利」という声が多かったですが、トラブルがありながらもここまで積み上げてきたものを出し切った。「井上尚弥とあれだけやれるのか」「やっぱり中谷潤人は強い」と誰もが思ったはずです。
偉大なふたりが、偉大な試合をした。井上尚弥は文句なしに強かった。中谷潤人も強かった。さまざまな巡り合わせと奇跡が重なって、ファンは一生味わえないかもしれない極上の体験ができた。すごいイベントだったな、とあらためて思います。
これからのふたりへの期待も、もちろんあります。パウンド・フォー・パウンド1位に返り咲いた井上選手が、いったいどんな相手と戦うのか。フェザー級への挑戦なのか、あるいは噂されているジェシー・“バム”・ロドリゲスとのメガマッチなのか……。いずれにせよ異例のハイペースで試合を重ねてきましたから、今年はゆっくり休んで心身の疲労を抜いてほしいです。



