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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「自分でもクソガキやと思う」号泣で話題“スーパー1年生”はワガママ問題児だった? 天才少年が人生で初めて言われた「お前のせいで負けた」
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYuko Tanaka
posted2026/05/08 11:00
春高バレーで活躍した清風・西村海司。2年生になり、エース番号を背負う
身長181センチのアウトサイドヒッター。清風中3年時に全国大会で準優勝し、12名のみが選ばれる全国中学生選抜では主将を務めた。空中で姿勢が崩れないボディバランスと高い位置から叩きつけるスパイクの源である跳躍力は、元ボート選手の父と高校女子バレーの名門・誠英高でプレーした母譲り。高校入学時から“スーパー1年生”として注目を集め、春高での活躍で一気に世代を代表する選手へと躍り出た。
ただし、コートで見せる強気なプレーと豪快さは長所である一方で、「誰にも負けたくない」という気持ちの強さが、時に不満として表れてしまう。
春高バレーから3週間が過ぎた1月末、そんな“悪カイジ”が顔を出した。
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春高準優勝の経験メンバーが5人もスタメンに残る清風は、今季の優勝候補に挙げられる一つだ。新チームとして最初の公式戦となる大阪府新人戦は全国につながる大会ではないものの、春高で敗れた悔しさをどれだけ糧にできているかを示す重要な機会でもあった。
しかし、新人戦決勝を前日に控えた試合形式の練習で西村とセッター森田陸(当時2年)が噛み合わなかった。それどころか、互いに歩み寄ろうとすらしない。西村が不服そうな顔で「これじゃあ打てない」とチャンスボールを打たずに相手コートへ返すと、森田もそんな西村にボールの高さやタイミングを尋ねることをせず、トスを上げる回数を減らしていった。
ワガママなエースを一喝
チームの両翼を担う二人の態度と慢心を山口誠監督が見逃すわけがない。現役時代は日本代表でセッターとしてプレーした指揮官が練習を止めて一喝した。
「『打てません』とボールを返すエースと、『打ってくれ』とボールを託せないセッター。そんなバレーで勝てるんか? そもそも、それがやりたいバレーか? 不満そうな顔をするだけで言葉もかけない。周りも何も言わない。そんなチームを誰が応援する? それで日本一? やることもやらずにワガママをぶつけ合う甘っちょろい選手が、エースになれるわけがないやろ!」
監督の言葉は響いたのか。後日、西村にその一件を尋ねると「確実に僕が悪かった」とスッキリとした表情で言い切った。
「ガキやったんです。もともと僕、セッターとのコミュニケーションが一番難しくて、自分がミスをした後に『どうやった?』って聞けない。ミスしたという悔しさが顔に出ちゃうから、その顔を見たセッターにも先生にも“海司が不機嫌になった”と伝わる。自分が悪いとわかっているのに、セッターから『ごめん』と言われると余計に嫌やけど、そういう顔も態度も絶対ダメやってわかっているのに直せない。成長しない自分を、また山口先生に見抜かれた。ほんと、僕が悪いんです」
叱責を真摯に受け止める素直さはある。ただ、西村は「でも」とイタズラっぽく笑って切り出した。


