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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「井上尚弥がここまで押されるとは」元世界王者がリングサイドで驚いた“終盤の攻防”のディテール「中谷潤人がアフマダリエフと違ったのは…」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2026/05/05 17:05
中谷潤人が攻勢に出た8〜10ラウンド、リングサイドのセレス小林は驚きを覚えたという
「あのアッパーで中谷選手が左目を傷めてガードを引き上げたので、尚弥選手の性格上、スイッチを入れて強引にでも倒しに行くものだと思いました。でもそうしなかったのは、おそらく中谷選手だから。ギリギリまでは行くけど、行きすぎてしまうとリスクがあるためあの場面においても警戒を緩めなかった。
昨年9月のムロジョン・アフマダリエフ選手との試合は、行くことを我慢したと思うんですよ。その前の試合でラモン・カルデナス選手の左フックを浴びてダウンを喫していたこともあって、本当はもっと行けるんだけど、敢えて行かなかった。アフマダリエフ選手のパンチ力を無効化して、完封することをテーマにしていましたから。
でも今回はそれと違って、我慢ということではなくて、行こうとしなかった。リングサイドから見た僕の目にはそう映りました。尚弥チャンピオンが最後の最後まで一切、気を抜いちゃいけないと思わせた相手だからでしょう。
互いに認め合った“笑み”の凄さ
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序盤から半歩のせめぎ合いをコントロールして、中盤に一度流れを持っていかれそうになりながらも、終盤にもう一度引き戻した尚弥選手はさすがです。でも、中谷選手だってコントロールされつつも我慢して自分の持ち味を出そうとして、最後まで勇敢に戦い続けたことはさすがだと言えます。尚弥選手には(ファン・カルロス・)パヤノ選手を倒したような鋭い踏み込みからのワンツーがありますが、今回軽いものはあってもこの持ち味を出せていませんよね。中谷選手がそうさせていたからとも言えます。
お互いがお互いを認め合っていました。8ラウンドのハーフタイム過ぎ、中谷選手が尚弥選手のボディ打ちを外して、逆に尚弥選手が中谷選手のアッパーをかわして一瞬止まって笑った場面がありました。あれは本当に最高でしたね。この2人、本当に凄いなって思いましたよ。一瞬でも気を抜いたら命取りになる緊張感しかない試合のなかで、笑っちゃう余裕があるんですから。僕が現役時代、そんな経験一度もない。この場にいて、このシーンを見て、2人ともやっぱり素晴らしいなと思いました」

