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「もやし」と呼ばれた鹿島沙希の“特異なプロレス人生”…32歳で引退決断「1カ月ニートしたい」「朱里さんのヒモになります」迫る“キモオタ”との別れ
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原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2026/04/10 17:00
4月26日に横浜アリーナで引退する鹿島沙希。試合はせず、盛大な引退セレモニーを行う
2021年10月には大阪城ホールで朱里に対戦要求した。ワールド・オブ・スターダム王座挑戦権利証とSWA世界王座がかかった試合も行ったが届かなかった。「こんなもやしみたいのが朱里から取れるはずがない、とみんな思っているだろうけど」とタイトルに照準を合わせた時だった。
2022年5月には大田区総合体育館でスターライト・キッド、渡辺桃と組み、なつぽい、ひめか、舞華に勝って、6人タッグのアーティスト王座に5度目の戴冠を果たした。
シングル王座にはなかなか届かなかったが2023年5月、大田区総合体育館での3WAYでAZM(王者)、フキゲンです★と対戦し、初のシングル王座ハイスピード選手権を獲得した。
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2023年6月には国立代々木競技場第二体育館で行われたクイーンズ・クエストvs大江戸隊の軍団抗争で、金網のリングから脱出できずに大江戸隊から強制追放された。
同年7月、ゴッズアイに入り、朱里とのタッグ「凹アネコン凸」はタッグリーグで本命視されたが、負傷リタイア。翌年のタッグリーグ戦もまたしても負傷してしまう。
「引退試合はしない」という鹿島だが、キャロfromナルコピクシーーの生歌「Victory Road」での入場もあった2月7日、大阪府立体育会館での朱里とのシングルマッチが事実上の引退試合だったのかもしれない。
「ニートしたい」「朱里さんのヒモになります」
鹿島沙希は引退する。そして、4月26日、横浜アリーナで引退セレモニーを迎える。
鹿島が「キモオタ」と呼び、そう呼ばれることを誇りに思っているファンは、鹿島が気持ちよく引退できるように花道を見送ることになる。
鹿島は「これだけは絶対譲れない」と希望した「高速10カウントゴング」で引退する。涙がこぼれないように。それでも、鹿島の目から自然に涙があふれてくるのだろう。鹿島は「キモオタども」とともに涙を流すことになる。
「引退後は特に何も考えていない。1カ月くらいニートしたいですけど、私が引退しても、欠場が多かったから、ファンの方はまた欠場している、くらいの感じかもしれませんね。レスラーを辞めても会場に来ないとかではないです。朱里さんの金魚のフンではいたいので、朱里さんが困っていればセコンドについてもいい。朱里さんのヒモになります」
横浜アリーナでは「かわいい写真いっぱい撮ってねって感じです」と、鹿島沙希は微笑んだ。





