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「1秒1秒に命をかけて」河村勇輝がレブロンに挑んだ夜…10分の出場で示したNBA生存力「ユウキを信頼しているから試合に出した」ブルズ指揮官の本音
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宮地陽子Yoko Miyaji
photograph bySean M. Haffey/Getty Images
posted2026/03/23 11:01
シカゴ・ブルズとツーウェイ契約を結んでいる河村勇輝(25歳)
「オフェンスでなかなかリズムが作れず、ディフェンスで1本やられてしまった。ツーウェイ契約で(実力を)試されている選手っていうのは、ああいったひとつのミスで交代させられることが多いというか、それが当たり前の世界だと思っている。レイカーズ戦のように、前半で自分のやるべきことをやれば、後半またチャンスが来る。今、自分の立ち位置はワンポゼッションとかにかかってると思ってるんで、そこは生死をかけてというか、ワンポゼッション、1秒1秒に命をかけてというか、そういうところでプレーはしていかないといけないと思ってます」
常に崖っぷちにいるような状況だ。それでも、勝敗が決した試合終盤でしか使ってもらえなかった昨シーズンよりずっとやりがいがある。今季、河村がNBAで出場したのは、3月22日時点で11試合。血栓の治療の影響で1月からのチーム合流だったこともあり、昨シーズン同時期の20試合の約半分にとどまっている。一方で出場時間は通算121分と、すでに昨シーズンの合計(93分)を上回っている。それだけ1試合あたりの出場時間は増えている。河村自身、3月に入ってから続けて出場機会を得る中で、少しずつヘッドコーチのビリー・ドノバンからも信頼を勝ち取れているように感じているという。
「個人的には監督との信頼関係みたいなところは、やっぱり試合を出てプレーするたびに深まってるんじゃないかと思っています」と河村。ただ、だからといって自動的にプレータイムが与えられるようなチーム状況ではないことも、理解している。ブルズは2月のトレード期限前に新たに5人のガードを加えており、シーズンが終わるまでに彼らの実力を見定めている状況なのだ。
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「チームにはポイントガードが多いですし、プレータイムを得るのは簡単じゃないとは思ってるんですけど、ファウルトラブルだったり、本当に何かの緊急事態になってコーチがプレータイムを与えてくれた時には、しっかりとプレーでその信頼を積み重ねていきたいと思っています」
HCが明かした河村勇輝への評価
河村が何度か口にしたように、プレータイムを得るためにはコーチからの信頼が欠かせない。そこでレイカーズ戦後、河村をどれぐらい信頼するようになったかをドノバンHCに聞いてみた。
「私はユウキのことを信頼している。ただ、うちのチームが彼にとって少し厳しい状況となっているのが、ガードの層の厚さだ。見ての通り、出場機会を待つガードは多い。今夜は怪我の影響で、彼にも出場機会が巡ってきた。もし彼を信頼していなかったら、試合に出すことはなかっただろう。彼を信頼しているからこそ、試合に出した。彼は本当によく頑張るし、バスケのIQも高い。タフで、勝負強さもある。だから彼を信頼しているんだ」
結局、どれだけコーチが「信頼している」と言っても、チーム内の序列において河村は本契約のガードより下だという事実は変わらない。それでもコートに立てば、相手がスーパースターであろうと、日本代表の仲間であろうと、全力で戦う。少しの手ごたえを自分の味方に引き寄せ、道を切り拓いていく。レイカーズ戦で見せたあの5秒間のマッチアップの続きを来シーズン、また見られることを期待したい。〈全2回〉


