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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
「試されているんだろうな」望月ヘンリー海輝が感じた森保監督の”メッセージ” 歴史的勝利のブラジル戦で「うわっ、やってしまった」いまも残る“苦い記憶”
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2026/03/26 17:05
192cmの体躯と抜群の身体能力を誇るFC町田ゼルビアの望月ヘンリー海輝(24歳)。日本代表として出場し、歴史的勝利を収めたブラジル戦での“苦い記憶”を明かした
「ロドリゴ選手がボールを持ったときに寄せておかなきゃという思いが先行しすぎてしまって、一発で入れ替わった瞬間“うわっ、やってしまった”という感情でした。彩艶が前に出てくれていなかったら、おそらくファーでやられていたはず。クローズしないといけない場面で出た選手がやってはいけないプレー。助けてもらった彩艶には感謝しかないです」
「余裕はまったくなかった」
ファーストプレーでやられてしまったら、尾を引くことだって多々ある。ブラジルから突破口として狙われる可能性もある。だが、どうだ。ロドリゴに対して距離を取りつつ、声を出しながら周囲と連係を図ろうとした。
「余裕はまったくなかったです。出鼻をくじかれてしまった影響でそれ以降は裏を警戒しすぎてしまって……本来、僕が寄せなきゃいけないところなのに海舟くんが寄せたりとか、そういった場面が何度かあった。確かに自分も(周りに)声を掛けましたし、自分だって後ろから言われたら組織として守りやすい。その後は変なやられ方はしなかったけど、疲れている選手を助ける役割ができていないわけですから、自分としてはやり切れていない感覚しか残っていない」
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無理に失敗を挽回しようとせず、周りに協力を仰ぎながら自分なりに間合いをつかんでいこうとする。マテウス・クーニャを食い止めて右サイドを持ち上がっていく場面もあれば、再びロドリゴとの1対1では押し戻している。最初のミスはいただけないにしても、約10分間という短い時間のなかで自分なりに立て直してみせた。攻撃面でも果敢にミドルシュートを狙った場面もあった。
勝利を告げるホイッスルが鳴っても、喜びの色はなかった。
「ディフェンダーなので、あの一発をやられたら終わり。ワールドカップなら絶対、相手のゴールになっている。ブラジルに勝つという歴史的な場に最後、立てたことはもちろんうれしかったです。でもチームの力になれた感覚なんて全然ないし、うまくいったなんて微塵も思っていません。周りの素晴らしい選手たちに助けられただけなので。最初にやられたプレー、周りを助けられなかったことを考えたら悔しい気持ちのほうが強かったです」
やられたままでは終わらない。自分ができることをやろうとする修正力を表現した10分強であった。
彼のキャリア自体が、そのことをあらわしている。
日本代表のイメージはまったくなかった
2024年シーズンに国士舘大からFC町田ゼルビアに加入。圧倒的なスピードと高さを誇り、将来性を高く買われていた。ただ彼自身は近い将来、自分が日本代表の一員となるイメージなどまったく持っていなかった。

