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井上尚弥vs中谷潤人「中谷がダウンを奪う可能性は十分ある」英国人記者が期待する“クレイジーな展開”「それでもモンスターへの逆張りはできない」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byHiroaki Finito Yamaguchi

posted2026/03/07 11:02

井上尚弥vs中谷潤人「中谷がダウンを奪う可能性は十分ある」英国人記者が期待する“クレイジーな展開”「それでもモンスターへの逆張りはできない」<Number Web> photograph by Hiroaki Finito Yamaguchi

記者会見で意気込みを語る井上尚弥

『もしイノウエが122ポンド(スーパーバンタム級)で悪魔と戦うとしても、それでも私はイノウエの勝ちを選ぶ』

 今もこの考えは変わらない。イノウエのスキルレベル、リングIQ、そして経験値は、この試合でも決定的な要素になると思っている。

 ナカタニが提示する危険度が非常に高いのは紛れもない事実だ。技術、巧妙さ、フットワーク、そして何よりパワーという脅威がある。おそらくイノウエのキャリアが始まって以来、私がこれまで想定してきたどの相手よりも大きな“脅威”だ。だからイノウエも慎重でなければならないし、ルイス・ネリ戦やラモン・カルデナス戦のように強引に追いかけてミスをするような戦い方はできない。これは本当に、イノウエのキャリアを決定づけるスーパーファイトになると感じている。

井上尚弥からダウンを奪う可能性はある

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 ナカタニはイノウエを傷つけることができると思う。場合によってはダウンさせることもあり得る。実際、ダウンを奪うこと自体は十分可能だと思っている。ただし、これが重要なのだが、倒すことと、倒してそのまま試合を終わらせることはまったく別の話だ。イノウエがネリやカルデナスにダウンを奪われた場面を思い出してほしい。どちらの場面でも、倒されたあとも意識ははっきりしていた。立ち上がったあと、脚に力を戻す必要はあったが、目は澄んでいた。強烈なダウンを喫した後は、脚に“電気が走る”ような感覚になるものだが、それでも彼は回復した。

 イノウエが本当に深刻なダメージを受けたのを見たのは、2019年のノニト・ドネア第1戦だけだ。ドネアは彼を本気で傷つけた。顔面にダメージを与え、眼窩底を骨折させ、見えていなかったカウンターを当てた。イノウエが最も危険な状態に陥った瞬間だった。しかし彼はその当時と比べても経験豊富。だからナカタニがベストパンチを当てて倒せたとしても、そのまま寝かせておけるかどうかは分からない。

 一方、ナカタニはこの階級に上げてまだ日が浅く、タフネスはより未知数だ。体つきを見れば分かるが、ウエストは非常に細い。私はイノウエ対アラン・ピカソ戦をリングサイドで見たが、イノウエがピカソに浴びせたボディ攻撃は戦慄ものだった。あれだけのパンチを受けながら、ピカソが12ラウンド持ちこたえたのも驚異的だった。

 私はナカタニがあのレベルのボディ攻撃に耐えられるのかを見たい。サウスポー相手だから、イノウエは右のリードを多用し、そこから左フックに繋げてくると予想している。左構えの相手に対しては非常に有効な攻撃だ。ナカタニがそれにどう対応するかは非常に興味深く、重要なポイントとなってくるかもしれない。

【次ページ】 「何かクレイジーなことが起こる」

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