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「今なら大問題」全女で“本当にあった”新人への深夜説教「集合」の正体…豊田真奈美の下積み時代を支えた両親の借金「マミに送ってやらんといけんけ」
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伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byHideki Sugiyama/AFLO
posted2026/03/13 11:00
現役時代は「飛翔天女」のキャッチフレーズで人気を博した元女子レスラー・豊田真奈美さんインタビュー【第1回】
「同期から思いっきりシカトされてた」
――1987年デビュー組は、早々に会社から期待されていましたが。
豊田 私はぜんぜん期待されてなかったよ。同期は7人いて、3人がすぐに辞めていって、あのころってまだクラッシュ(・ギャルズ)さんがいたから、暮れにファンの集いとかコンサートを日本青年館でやってて。1つ上の代の先輩はやらせてもらえなかったけど、同期の三田(英津子)、下田(美馬)、山田(敏代)は期待されてたから、3人はソロで1曲ずつ歌わせてもらえたけど、私だけ売店の手伝い。期待されてたのはあの3人だよ、最初は。そうなると、私の負けず嫌いが出ちゃうよね(笑)。
――出ちゃうよね(笑)。
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豊田 あんな輝かしい舞台でソロで歌を歌わせてもらって、もう悔しかった、そりゃ。悔しいから、絶対あいつらを抜いてやるって思ってた。最初のライバルは、同期だね。
――デビュー4年目で、若手から唯一エントリーされたシングルトーナメント「フジテレビ杯争奪 ジャパングランプリ’90」で、先輩の北斗晶さん、堀田祐美子選手を破って優勝したことで、87年デビュー組のトップに立ちました。そうなると、同期はおもしろくないわけで……。
豊田 それは、実力の世界だからしょうがないよね。デビューして2、3年目ぐらいのときかな、私が出はじめたあたりから、同期から思いっきりシカトされてたの、知らない?
――知っています。
豊田 一人ひとりならしゃべるんだけど、3人集まると総シカト。ひとりずつならしゃべるのに、3人そろうとできないのか、やりたいんだったらやればいいじゃんって思ってた。私はあんたたちより人気も実力もあるから、やりたいんだったらやればって。いまとなっては、なんの恨みもないからね。同期は仲いいし。
先輩が新人を深夜説教する「集合」の正体
――そのころ、先輩からのいじめはありましたか。
豊田 いじめられてたのかもしれないけど、こういう性格だから、記憶がないんだよね。そういうもんだと思ってたから。我慢するしかないと思ってたから。いまだったらかなり大問題になるようなことでも、我慢はしなきゃいけないもんだと思ってた。
――具体的に、大問題とは?
豊田 控室に入るのが怖かったね。体はひとつなのに、控室に入ったら「これやって」「あれやって」って何個も来るから。一気にできないけど、やらないと怒られる。で、ほぼ毎日「集合」があった。
――集合?
豊田 一日の反省会。地方(巡業先)で一日の仕事が終わったら、先輩から「○○の部屋に来て」って呼ばれて、まず正座をさせられる。もう深夜。それで「今日のあれがどうだった」「こうだった」って怒られて、エスカレートしていったら、手を出される。私たちは正座して、「すいません」って言うしかなく。1時間で終われば早いほうで、2時間とかずっと正座してるから、終わって立ち上がろうとしても、生まれたての小鹿みたいな状態になって、足がベロンってひっくり返って転びそうになるぐらい痺れて。
――きっと、それを強いた先輩たちも新人時代にはやられていたんでしょうね。
豊田 もう代々だよね。それが当たり前で、我慢しないと残れないと思ってたから。


